ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫 も 25-3)
ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫 も 25-3) / 感想・レビュー
Tetchy
本書の草薙水素は大多数の社会人が抱く、夢を喪失し、現実に直面せざるを得なくなった社会人たちの姿。Down To Heaven。天は上るものであるのに草薙にとって天は墜ちていく先に辿り着くところだ。本書の表紙の色グレイは草薙が墜ちていく空の雲の色を指す。戦闘機乗りが死ぬべきところは地上ではなく空。空に墜ちて死ぬことこそが本望。しかしその時の空は雲に覆われた灰色の空で希望はない。希望が無くなった時に墜ちる空は灰色。草薙が絶望に明け暮れる序章の巻。その時が訪れるまで草薙水素よ、ただただ楽しく飛び続けてほしい。
2019/09/20
とら
このシリーズを読んでいるとき、自分がどういう感情なのか分からなくなる。それは子供なのか大人なのかの境界線が分からないからなのか、それとも空を飛ぶという感覚が分からないからなのか。言ってしまえば全部なのだろうけれど、クサナギがずっと、本当にずっとこの作品で語っていた「空に上がっていたい」という想い。それだけが全てというのも可笑しいかもしれないが、クサナギにとって、いやキルドレ全員にとっては紛れもなく全てなのだろう。何かその、それだけを一心に想うことって凄いと思う。次巻はあまり間を空けず読みたいと思います。
2012/08/14
ゲバオ
スカイクロラシリーズ2作目。今回は前回に比べてフライトシーンが少ないなーと思って読んでたんですが、最後に極上のダンスシーンがありましたね!草薙水素は地上の人間をみんなクズだと言っていましたが、俺はこのシリーズの草薙の言う地上にいるクズが大好きです。ササクラもカイもみんな素敵です。俺もスカイクロラの世界にだいぶ乗れてきたんで間をおかないで次のダンスを踊ります。
2016/05/30
ハタ
彼女の青春は確かに我々の生きる世界とは違い、どこか空虚な刹那的な一面が影を覗かせ、常に一瞬を生きている。本巻はただひたすら飛びたい、死ぬのなら空が良いと言い切る彼女が「空と彼」に並々ならぬ熱意と喜びを見せたとても興味深い物語が収録されている。読後に表紙の一文を読むと感慨深いものが込み上げてくる。「真っ黒な澄んだ瞳。その中に、空がある。そこへ堕ちていけるような。」
2015/11/07
ソラ
シリーズ3作目。草薙がはじめて人間っぽく感じた。そして、状況を受け入れざるを得ないことへの草薙が感じる歯がゆさ・苦しさを感じた。ティーチャとの空中戦はつい引き込まれた。
2014/05/18
感想・レビューをもっと見る