恋文 (中公文庫 た 54-4)
恋文 (中公文庫 た 54-4) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
歌人の俵万智さんと作詞家の荒木とよひささんによる、往復書簡形式のフィクショナルな恋文のやりとりを構成したもの。散文形式によるものの一種の相聞歌といった趣き。妻子ある男(荒木)と、不倫関係にある詩人(俵)という設定。俵万智さんの私生活がある程度知られているだけに、結婚をめぐる両者の想いなど、結構リアリティがある。一瞬、あの子の父親はこの人だったのかと思ってしまうほど。ただし、相方の荒木さんの手紙は、歌謡曲の節回しなど俗っぽい表現がしだいに多くなり、回を重ねるごとにそのリアリティが薄れて行くのは残念。
2013/03/27
やも
53歳の脚本家の男。36歳の詩人の女。2人の往復書簡が紡ぐストーリー。なんでもないことを話したくなる、聞いてもらいたい、聞かせて。実際にこうなれる関係の相手にはそうそう出会えない。(これ私読んで大丈夫?大切な人に宛てた、大切な手紙なんじゃないの?他人の私が読んでいいの?)なんて思ってしまった😅覗き見をしてしまったような、少々居心地の悪さを感じてしまう生々しさがあった。恋とはするものではなく、堕ちるもの。作中の2人は一緒に墜ちてたね。やっぱりサラダ記念日が読みたいな🥗★2.5
2022/03/08
ひろちゃん
大人の恋を二人の文通を通じて、描いている作品。手紙の内容がまさに詩。不倫なんてすごく馬鹿馬鹿しいと個人的に思っていて、不倫相手も奥さんもそそのかす男の人最低と思っていたけど、この作品に出てくる男女の恋は二人の才能ある歌人が書いているからか純愛に見える。また読みたいです。
2015/10/17
ピロ麻呂
妻子ある男性と独身女性が交わす恋の往復書簡(≧▽≦)俵万智やけど、短歌はほとんどなく、ポエム中心の素敵なラブレターでした(^^) 文章で綴られる愛する気持ち…季節の移り変わる中、ふたりの恋は変わらずにいて欲しいものです(≧▽≦)
2015/12/08
虹色
荒木さんが、妻がいる脚本家(52歳)を、俵さんが女流詩人(36歳)を書く仮想恋愛での往復書簡。好きな歌人の俵さん、「秘密の二人の恋」を期待していたが、思っていたのとは少し違っていた。手紙の内容が相手を思いやる優しい気持ちで溢れている。どちらかというと年の離れた世代の違う恋人のような感じ。不倫であろうが、恋する気持ちは変わらないということなのか。二人が書く文章は美しく、それぞれのエッセイのように人生観が顔を出す。「もし」を封じ、「誰にも恥じることはない」とする女の潔さに返す言葉はあっただろうか。
2018/08/24
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