KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

蛇行する川のほとり (中公文庫 お 70-1)

蛇行する川のほとり (中公文庫 お 70-1)

蛇行する川のほとり (中公文庫 お 70-1)

作家
恩田陸
出版社
中央公論新社
発売日
2007-06-25
ISBN
9784122048690
amazonで購入する

蛇行する川のほとり (中公文庫 お 70-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

NAO

【戌年に犬の本】【「ミステリ週間」参加】思春期の少女ならではの触れば壊れてしまいそうな美しさだけでなく、そこに含まれた危うさ、はかなさに包まれた、きらきらした少女たちが密かに隠し持つ秘密。それでもそれほど陰惨な感じがしないのは、そこに登場するのが私利私欲にかられた大人たちではなく幼い子どもたちだったからだろうか。第二章の題「ケンタウロス」は、ある少女の家でかつて飼われていた犬の名前。あまり登場しないが、重要な役割を担っている。

2018/08/30

けい

物語の進行に合わせて語り手を切替ながら展開していく。無垢な少女毬子、少女と女の境目にある芳野、物語の完結に必要な第三者である真魚子。3人の目を通して事件の真相に近づくにつれて、少女から女へと変化していく微妙な世代を描き出す。「ネバーランド」の様に恩田さんが描く少年の物語もいいが、今作で描かれる少女は別格に崇高で美しかった。

2013/10/13

みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます

女子高生の毬子は、憧れの先輩に誘われて「蛇行する川のほとり」にある家での合宿に参加するが、そこで起こったかつての事件の記憶がよみがえるなか、何のために自分が誘われたのかが気になり始める。そんなサスペンス色たっぷりのミステリーとしても引き付けられたのだが、それ以上に、事件を通じて描かれた少女たちの心情が何より秀逸。いつまでも子どもっぽいと言われる男の一人としては、おとなへと向かう少女たちの気高くも不安定な心の機微が、みずみずしくもはかなげな美しさを放ち、心奪われる。恩田作品らしい味わいのある良作だと感じた。

2013/07/04

きんぎょっち

子ども時代に起きた犯罪をめぐる、毅然として美しい少女たちの少女時代の話だった。男性作家が書く少女は男目線なので不自然に性的だったりして気持ち悪いのだが、そういった要素は全くないのがよかった。それぞれが重たい秘密を抱えながら不思議に強く結びついている少女たちの関係性は、肉体的なものに左右されやすい男性には理解しずらいものかもしれない。普通のつもりでも、直感や隠喩や暗示や象徴がまぎれこむのが少女同士の会話というもの。それらを思う存分堪能でき、かつミステリーも楽しめる作品だった。

2017/12/04

いりあ

恩田陸が2002年に発表した長編小説。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために"合宿"を始めた少女たちの物語です。過去に起きた悲しい事件/事故を中心にミステリータッチで話は展開していくのですが、やはり恩田さんの描く思春期の少女は素晴らしいです。本作は三部作+αで各章ごとに視点が変わります。そのため、話の中心になった少女の持つ考えや性格によって、人間関係や物事が多角的に見えて、物語の彩りが増します。これを舞台で上演したら、とても面白そうです。

2013/12/28

感想・レビューをもっと見る