西ひがし 改版 (中公文庫 か 18-10)
西ひがし 改版 (中公文庫 か 18-10) / 感想・レビュー
syaori
7年に及ぶ「ゆきあたりばったり」の旅を語る三部作の最終巻。日本を目指す本書では行き着く先が見えているからか、不安の中を漂うようだった前2冊にはない安定感を感じます。日本を前に南洋でぐずぐずと過ごす様子は相変わらずなのですが、それでも思い出すのはどこか気の晴れたような明るさばかり。自分の弱さへの嫌悪、寄る辺なさ、金の苦労。煌びやかな言葉に照らされながらそんな泥沼を進むような旅でしたが、最後はそこを抜けて高いところに出たようで、作者が到達したその場所を望めたただけでこの旅をしてきたかいがあったように思います。
2019/07/22
jahmatsu
遂に三部作完結篇。毎回ではあるが、金子先生の有るような無いようなバイタリティと破天荒な生き様には感動すらさせられる。今回はジャングルにまで。人間とりあえずブラブラ散歩するがことが大事だな。それと何と言っても三千代夫人、最強。
2019/07/18
メタボン
☆☆☆ 詩的な文章の割合は「マレー蘭印紀行」「どくろ杯」「ねむれ巴里」に比べて少なく、紀行の事実記述が多いような気がする。その破天荒な紀行を体感するには面白かったが、やはり幻惑されるような詩的世界に堪能できるのは他の三部作の方か。
2018/09/09
harass
再読。詩人の自伝三部作の最終巻。妻をベルギーに残し東南アジアを通って帰国するまで。東南アジアあたりではちょうど中華事変が勃発しきな臭くなっていく。詩人の眼が南洋の風物を描写していきなかなか面白いのだが、正直他の本と比べてピンと感じないように思えた。しかしいつも思うが著者の思い切りの良さにも驚くが三千代夫人も大したもので……
2014/05/19
tsu55
『どくろ杯』『ねむれ巴里』に続く三部作の完結編。 パリからの帰途、立ち寄った反日感情が沸騰するマレー半島での生活が主な内容になるが、ヨーロッパでの鬱屈した様子にくらべ、むしろいきいきとしているように感じられる。 相変わらずデタラメなようで誠実で、誠実なようでデタラメな捉えどころのない人だが、そこがなんとも魅力だ。
2017/05/30
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