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安徳天皇漂海記 (中公文庫 う 26-3)

安徳天皇漂海記 (中公文庫 う 26-3)

安徳天皇漂海記 (中公文庫 う 26-3)

作家
宇月原晴明
出版社
中央公論新社
発売日
2009-01-01
ISBN
9784122051058
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安徳天皇漂海記 (中公文庫 う 26-3) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

実朝の時代から幕を開ける歴史ファンタジーである。登場人物が多すぎて、正直混乱するが、 幻想的な雰囲気が満載で心地良い。 滅びゆく王朝の末路を描きたかったのだろうか?実朝と 南宋の繋がりが 荒唐無稽で 著者に翻弄された印象が強い…そんな作品だった。

2022/10/16

眠る山猫屋

伝奇の体裁をとる哀切な貴種流離譚だ。大河ドラマに沿う形で読み始めたが、圧倒的な面白さ。源実朝が出逢う琥珀に包まれた安徳天皇。海に沈んだままの姿で「兵(つわもの)になれ」と魅惑的な誘いの果てに・・・。実朝の近習である若武者の目線で語られる、奪われ追い詰められた王の悲しい選択。草薙の剣ではなく、海の干満を司る二つの宝珠を形見に得た若武者は元寇に際して・・・。実朝の残した数々の詩歌を巧みに取り入れ、その悲しい生き様を浮き彫りにしていく。そして第二部ではクビライ・カーンの命を受けたマルコ・ポーロが主人公に。

2022/09/15

NAO

壇ノ浦で入水して亡くなったはずの安徳帝が鎌倉幕府3代将軍源実朝の前に現れるという歴史ファンタジー。三種の神器の他にもさまざまな神宝を御所から持ち出しさまざまな不思議を起こす安徳帝。古来そぐわぬ廃嫡をされた皇子や帝は「荒ぶる御魂」となることが多かったが、幼くして命を危うくした安徳帝も「荒ぶる御魂」となってしまうのか。透明な珠の中で眠る稚児。史実に巧みに虚構を混ぜ込んだ妖しい世界はモンゴルまでも広がっていき、マルコ・ポーロの語りは、イタロ・カルヴィーノの『見えない都市』を彷彿させる。

2024/06/25

はらぺこ

歴史モノのファンタジー。以前から興味が有ったネタが織り込まれてたので面白かった。ただ第一部の語り口に何度も眠りに落ちてしまったので半分ぐらいにしてほしかった。第二部はCG映像で観てみたい。正直、第二部だけで良い気がするけど第一部を読んだからオモロかったんやろなぁ。映画化したらええのに。

2011/08/31

藤月はな(灯れ松明の火)

全てを奪われ、流されてしまった想いは何処へ辿り着くのか。絶望し、悔やみ、嘆き悲しみ、憎み、呪い、慟哭し。やがて時は流れ、全てを振り絞った幼き故に強烈な荒ぶる魂は消えずとも透徹した祈りにも似た「何か」へと変わるのか。安徳天皇が八岐大蛇ならば神器の奪還だけでなく、清和源を滅ぼしたのは天孫を滅ぼす為だったのか。武士に生まれた故に文人としての己との差異に苦悩する源実朝が見せた凛然とした最期とフビライ・ハーンの滅亡を幻視できたマルコ・ポーロの境地が物悲しいです。そして「小林の大臣さまや太宰の僧正」という記述に慄然。

2013/05/23

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