猫の縁談 (中公文庫 て 1-10)
猫の縁談 (中公文庫 て 1-10) / 感想・レビュー
KAZOO
猫と古本屋についての5つの話が収められています。縁談というからには猫の相手探しと思いきや猫を古本と一緒にもらってくれる人を探しているということで物語が始まります。私は出久根さんの実際の話と思いきや小説なのですね。古本屋さんと古本が好きな人には楽しい話です。
2016/02/04
はつばあば
古本屋さんをあちこち回るには最高の京都。薄暗い路地の間に古本が店先にどんと積まれ、ガラス戸を開けると年配のおじさんが眼鏡越しにジロっとみて愛想の無い、声を出すのも勿体ないと云わんばかり。それでも学生時代は初版本を見つける事に密かな喜びを見いだしていた。安部公房、大江健三郎・・もう覚えていないし本も何処かへ。当時は古本の妖気に魅入られる程小遣いもらってなかったもの。爺様と同じ年の出久根さんなのだけれどお名前を伺うのも本を読ませて頂くのも初めて。私の目はどこを向いていたのだろう
2016/02/17
空猫
猫の日(2/22)にちなんで。読み友さんのレビューから。タイトルと表紙から猫満載の話かと思ったが違ってた。「猫の縁談」「腹中石(既読だった)」「そつじながら」「とつおいつ」(辞書引いちゃったよ(^^;)「猫阿弥陀」の5編。赤紙、特高が登場する戦時中の話もあるが、それでなくともタイトルから昭和感、加えてホコリとカビのにおいが充満している。古本屋を舞台に繰り広げられる奇妙でどことなくユーモアもある人間ドラマ。独特な世界でこれはこれで面白いのだが、猫の日に読む本には向かなかったな。
2016/02/22
イタリアンでこちん
猫好き!本好き!インクと紙の匂い好き!そ~んな読友さん、たまりませんにゃ~。表題作を読み終えて表紙をもう一度見てる、はいあなた!今、心は猫と一緒に電話局の庭で輪になり集会中?思想書と猫の本だけの古本屋さん。キャット・ブライダル・ネットサービス承ります。詳しくはウェブで。www.furuhon-catlover.co.jp「腹中石」めりかりさんがマスクを外した・・・お口のヒゲが十時十分位置だと思う。猫って褒めたり、嬉しい時にヒゲがこの時計の針の位置にきてますもん。ねぇ、猫好きの読友さん。他全四編の古本話。
2009/07/08
ちはや@灯れ松明の火
迷い込んだのは昼でも薄暗い穴倉のような店内。日に焼けた背表紙や黄ばんだ小口の書籍を手に取って頁を繰ると、紙魚の散るざらついた紙の乾いた感触、永い年月を経たものから漂うささやかな威厳。其処だけ時が昭和で堰き止められているような静けさを破るのは、帳場でみゃ~ごと鳴く老猫。立ち読みしすぎだよと軽く非難をするように。今はこんな長閑だけど、昔は古本屋家業ってのも結構しんどかったんだよと喉を鳴らす。昔話、聞いてみたくないかい?…頷いて、その瞬間古書の香りが生んだ白昼夢が終わる。遠くから、また猫の鳴き声。
2009/10/07
感想・レビューをもっと見る