猫 (中公文庫 く 20-1)
猫 (中公文庫 く 20-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
猫にまつわる小説やエッセイを計12篇収録。あえて、様々なものを集めているので、好みはそれぞれだろう。私の場合は冒頭に置かれた有馬頼義の「お軽はらきり」を読んだ途端に、亡くした愛猫ブルーのことを思い出してしまい、ここで早くも鼻が詰まった。最後の日は、雨の中を外に出て行ったきり帰らなかったのだ。車に撥ねられて腰骨を骨折し、1週間後に瀕死の状態で帰ってきたこともあった。何処かから迷い込んできたフクロウと闘って、背中を何針も縫う大ケガからも復活した。ノラ猫から生まれて15年間生きたのだ。あれ以来、猫は飼わない。
2015/01/14
mae.dat
明治、大正生まれの方々に依るアンソロジー。旧仮名遣いですが、読み難くは無かったです。それより尺貫法がピンと来ない。踊り字(ゝやゞなど)が多用されていてね。日本語はオノマトペが発達していると思いますが「く」を伸ばした様な踊り字の多さに実感を増しました。大佛次郎(おさらぎじろう)さん、読み間違えている事を知りました。その大佛さん作品で、猫に下戸上戸がある発見ね。ほほー、ってばか。ダメだよ呑ませちゃ。坂西志保さんの作品はねこねこしているなぁ。でも、玉ネギやチョコレート与えるとか。どうなっているの⁈ そこん所‼︎
2022/08/26
KAZOO
これも先日読んだ「犬」と同じに昭和30年に出版されたものをクラフト・エヴィング商會が装丁と一つの作品を追加して文庫として出されたものです。すべて短編なので読みやすく猫好きの人にはたまらないものだと感じます。猫好きで有名な大佛次郎はもちろんのこと井伏鱒二や柳田国男の作品もあります。翻訳家の尾高京子と坂西志保の作品が楽しめました。
2024/02/04
ぶち
【にゃんこまつり2022】読友さんのレビューで魅かれました。半世紀前(昭和29年)に出版された猫の随筆集が、クラフト・エヴィング商會の新しい装丁で生まれ変ってきました。表紙の赤い首輪がとっても似合っている黒猫も愛くるしいです。でも、このモダンさと異なって、半世紀前の未だ戦争や終戦の暗い面も残っている暮らしが反映されてか、猫に対する接し方や飼い方の違いに驚きました。現代の飼い主の中には目をむいて怒る人もいるかもしれませんが、昭和の作家さんたちのそれぞれの猫の愛し方が表されていて、けっこう楽しめました。
2022/02/11
アキ
クラフト・エヴィング商會が、1955年に出版された「猫」を再編集し、2004年に発刊した本の文庫版。戦時中や戦後の話がほとんど。大佛次郎や猪熊弦一郎ら猫好きのねこ愛に溢れた文章も、子どもにせがまれ猫を飼うようになり次第に惹かれていく寺田寅彦の話も、各地に伝わる猫奇譚が楽しい柳田國男もいいが、「客ぎらひ」谷崎潤一郎のニャアと啼いて返事をするのが億劫であると、黙ってちょっと尻尾の端を振って見せる、あの尻尾をわたしも想像の中で振って受け答えしているとあるのが好み。
2021/02/22
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