木魂,毛小棒大: 里見とん短篇選集 (中公文庫 さ 55-1)
木魂,毛小棒大: 里見とん短篇選集 (中公文庫 さ 55-1) / 感想・レビュー
amanon
軽妙でありながらも、スッと読ませるだけでなく、何とも言えない味わい深さを感じさせるその文体が魅力的。小野谷敦による解説のタイトルが「色気の作家」とあるのが絶妙。ただ単に性的な描写が多いというだけでなく、文章そのものに、どこか香り立つような色気を感じさせるのだ。それは153センチという低身長でありながらも、ハンサムでモテたという作者自身が放っていたであろうフェロモンのようなものが注入されているというべきか。個人的にはやや複雑な構造を持つ「文学」がとりわけ心に刺さったか。文学に憧れた者あるある感が何とも…
2023/05/19
青芝
里見とん大好き。もっと本探したいんだけど、なかなか書店ではお目にかかれず、やっとこちらを見つけることが出来たんで嬉々として購入。初里見が『君と私と』だったもんで、里見とんの私小説っぽい作品読むと誰だ誰だ?って想像するのが楽しい。てかほんと志賀大好きだなぁ。解説よかった。とりあえず、全集ほしい…。
2013/04/21
ひろゆき
通俗感。依頼のページ数と締め切り日が先にあり…という感じで、短編にもかかわらず、なんとなく物語が揺らぐ。小説誌が娯楽の一つの中心だった時代を感じる。会話はとても生き生きとしていて凡庸な感じはしない。
2016/01/07
eazy
作者は有島武郎の弟。小津安二郎「秋日和」の原作者。 12編の短編が収録されているが、どれもおもしろかった。 最後に収まっている「小坪の漁師」という掌編は、なんと最晩年の92歳の作。飄々としてるが俗っぽくもあり、人情ぽいかと思わせるとけっこうドライ。巧みな文章や会話文のおもしろさ、私小説的な(自嘲的な)人間描写にワクワクとのめりこんでいくと、ポーンと突き放されてお話を取り上げられるような、そのへんのとらえどころのなさが絶妙で気持ちよくて、はっとさせられたりニヤニヤしたり。「ふところ子」がお気に入り!
2011/06/16
味噌漬の味
小津安二郎が崇拝していたというだけあって、会話場面が楽しすぎました。小津映画ファンはきっと楽しめると思います。それだけでなく、不思議な感触のものもあり、通俗小説っぽいものもあり、深くジーンとくるものもあり。初・里見弴でしたが、他のものも全部読んでみたいと思いました。
2012/05/09
感想・レビューをもっと見る