アウトサイダー(上) (中公文庫 ウ 6-3)
アウトサイダー(上) (中公文庫 ウ 6-3) / 感想・レビュー
コットン
以前上・下巻になる前の文庫を昔購入していたが、見当たらず上下巻図書館本で再読。作家の主題としてのアウトサイダー的側面をもったサルトル、カミュ、ヘミングウェイ達とは異なり(彼らはその後違う主題を求める)、画家ゴッホや舞踏家ニジンスキーの場合、貧困などが引き金となり精神の拠り所が得られない状態がより過酷なアウトサイダーへの道に進ませた。
2014/05/03
拓也 ◆mOrYeBoQbw
評論書。実存主義文学から始まりアラビアのロレンス、画家のゴッホ、ダンサーのニジンスキーまでウィルソンの”アウトサイダー”論を体系化していく上下巻。カミュ『異邦人』ドスやん『悪霊』サルトル『嘔吐』ウェルズ『盲人の国』エリオット『荒地』ヘミングウェイ初期短篇と著者と私の読書遍歴が似通ってるため初読からある程度呑み込めましたが、やはりある程度の読書経験が無いと難しい一冊かもしれません。真っ先に挙げられるバルビュス『地獄』などは私もまだ未読、更に色んな本を読んでから戻りたい一冊になりました(・ω・)ノシ
2018/10/17
那由多
実在の人物や小説の登場人物たちを例に挙げ、アウトサイダーを論ずる。あらましでも知っている人や作品なら興味深くスルスルと理解できるが、知らないものが多くてそこになると途端に難解に感じてしまった。相容れない分析もあるが、見解の違いもまた一興。
2022/02/23
梟をめぐる読書
本国での刊行以来、恐らく世界中で何千、何万という規模の〝アウトサイダー予備軍〟を量産してきたであろう罪深い一冊。かく言う自分もその使徒の一人たることを免れ得ないのだが、それは著者がアウトサイダー的な個人の存在を、芸術でも哲学でもなく、窮極的には「いかに生くべきか」の問題として語ってくれたために尽きる。アウトサイダーとは決して「俗世間の価値観を無根拠に軽蔑し、排撃する者」の謂いではない。周囲との同化を望みながらそれを果たせず、さりとて外側にも安住の地を持たない、宙ぶらりんな状態に置かれた孤独な魂の姿なのだ。
2013/01/08
凛
わーお。特にこの一年腐心して孤独に試行錯誤し続けていた事がこの本でまとめられてるとは。同じ所で闘ってる人がいたのが嬉しい。でもこれは思想の問題だから読んだだけでは絶対分からない。同じ道を辿ってる人にしか分からないと思う。私の結論はヘッセが綺麗にまとめてくれている。「自己の世界を狭め、自己の魂を単純化する代わりに、いかなる犠牲をはらっても、最後には全世界を自己の魂に包含せねばならない」全てを排し自己を作らず自我のみになること、自我の無限に及ぶ分裂とそれに伴う自然への帰依感覚の獲得、その両方を同時に行うこと。
2013/12/17
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