かたちだけの愛 (中公文庫 ひ 30-1)
かたちだけの愛 (中公文庫 ひ 30-1) / 感想・レビュー
優希
設定としてはありふれた恋愛小説だと思います。交通事故で義足にしなければならなくなった女優と、義足を作ることになったデザイナーの物語。時が経つにつれ2人が未知の世界へと誘われていくのには興味が持てました。体の一部を喪うこと、失われた一部を埋め合わせることとはどんな想いなのだろうと考えさせられました。
2023/01/08
かみぶくろ
3.7/5.0 いまいちピンと来ないのは、自分がもはや恋愛小説になんのときめきも抱けないせいなのか??美しい文章で表現された恋心や恋愛の発展にどこか冷めてしまう自分がいて苦笑してしまった。
2022/05/14
崩紫サロメ
交通事故で片足を失った女と、その義足を作る男の恋愛小説。私の祖父も交通事故で片足を失い、その後ずっと義足で生きてきたということもあり、身近に感じられるテーマであった。面白さを感じたのは、義足の作り手が主体となって語れているところ。プロダクト・デザイナーと呼ばれるのだが、自分が心血注いで作った義足に、彼女の血が通う瞬間、それこそが彼にとっての至福なのだ、と。タイトルの意味には様々な含意があるのだが、失われた身体を補うという究極的な「かたち」から入った愛、その先に見える希望。読後感の良い小説だった。
2021/11/15
akio
愛を信じない相良と、片足を失った魔性と呼ばれる美貌の女優、久美。痛むはずのない幻痛に悩まされるのは、なくした久美の足であり、過去の痛みであり、相良にも痛み続ける過去があることを気付かせます。そんな相良の愛は献身だけでは久美を満たせず、利他でありながら利己でもある形へ変わっていきます。計らずも愛することが相良自身の肯定となり、共にいることで互いを補完し深めあっていく二人。それは幻痛を乗り越える未来への希望になりえるのです。ラストシーンまで美しいド直球のラブストーリーに大満足です。
2018/11/27
ヨクト
事故で片脚を失った女優と義足デザイナーが紡ぐ愛の物語。「あなたにとって、愛って何なの?」と直球ながら答えられない問いから始まる物語は、過去現在未来を通して展開して行く。恋愛小説といえば恋愛小説だが、平野さんが書くと単純なラブストーリーにはならないね。良くも悪くも難しい部分がある。また、エンタメといえばエンタメだが、たまに殴られたような衝撃を感じるのは平野さんのメッセージ力だろうか。
2014/04/09
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