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針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫 よ 39-4)

針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫 よ 39-4)

針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫 よ 39-4)

作家
吉田篤弘
出版社
中央公論新社
発売日
2013-11-22
ISBN
9784122058712
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針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫 よ 39-4) / 感想・レビュー

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masa@レビューお休み中

僕は一体どこに行っていたのだろうか。すぐ近くにある町のような気もするし、地図にも載っていない町のような気もしてしまう。行ってみたいが、たどり着けない場所。出会ってみたいのに、出会うことができない人々。そんなありそうで、なさそうなものが、ここには溢れている。何をどう解釈していいのかすらわからなくなってしまう不可思議な世界観。けれども、そんなことなんかお構いなしに、吸引されるような魅力が、この本にはあるのだ。魅惑的で、懐古的で、どこかですでに見知っているような既視感すら覚えてしまうのだから…。

2015/05/02

KAZOO

7つの短編集が収められています。いつも読んで感じられることですが、この年になって吉田さんの作品はテンポが合うような感じがします。懐かしいような感じもしていてそれぞれの作品がどこかで関連しているような気もします。特に最初の「針がとぶ」という作品などは、若い人(マニアの人は別ですが)はほとんどご存じないでしょうが、レコードというのは傷をつけてしまうと針がとんでしまうということが起きます。そのようなこととある人の思い出をうまく絡めています。

2024/03/29

紫 綺

単行本にて読了。言葉が、文章がするすると心に入り込む。すごいことを、人をさらりと描く一冊。

2015/09/05

nico🐬波待ち中

吉田さんの創った七つの物語が少しずつ重なり合いそこから生まれた夢うつつの世界観。やっぱり吉田ワールド好きだ。物語の端々に出てくる単語を一つも見落とすことのないようじっくりと読み切った。聴いているレコードの針がとぶ瞬間に生まれる”無”。それは別に何かを無くした訳ではない。目の前に在る確かなものを追う人にはとうてい見ることのできない、不確かな愛すべきモノたち。そんなどこかふわふわした世界観にどっぷりひたれて幸せいっぱい。小川洋子さんの『解説』が吉田ワールドにいい塩梅に合わさって、より大好きな一冊になった。

2022/05/14

ユメ

「雑貨屋的影響力」という言葉の素晴らしさ。彼の作品は起伏の少ないものが多いけれど、どれも「世界はこうして表現され、物語になるのか」という新鮮な驚きと感動に満ちている。散文なのに詩文のような、日常なのに非日常のような美しさがあると私は思う。レコードの針がとぶ。そこには、聴くことのできない音楽がある。点が線で結ばれた星座のような七つの物語。北極星を中心に、天空をくるくると回る。回るレコード。繋がれた星と星の間にも、私の知らない物語がある。しかし、聴くことができないはずの音楽の残響が、確かに聞こえてくるのだ。

2014/10/16

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