発光地帯 (中公文庫 か 81-1)
発光地帯 (中公文庫 か 81-1) / 感想・レビュー
風眠
ひとつひとつに付けられたタイトルの美しさ。目次だけを続けて読めば、それはまるで一篇の散文詩のよう。そう言えば『魔法飛行』を読んだ時にもそう感じた。川上未映子は不思議な作家だと思う。くすくす笑えるエッセイを書くかと思えば、文学的で少し難しい小説を書いたり。ほんのりと哀しいような、どこか諦めているような、俯瞰的でありながら、内に内に潜りこんでゆくような、けれどしっかり地に足がついているような、でも少し泣きたくなるような。感覚的にうったえかける自由な文章からは、日々の、命の、美しさを感じる。うまく言えないな。
2019/02/19
さおり
一応「読んだ本」に登録しちゃうけど、ちょっとずるだと思う。だって、ちょー飛ばし読みしちゃったし。川上未映子さんは、私にはまだ早いようです。小説がちょっと難しくて、だったらエッセイだっ!と意気込んだけど、同じことでした。いつかいつか、リベンジできる日が来ますように。
2015/02/15
Y2K☮
以前著者を「生まれ変わった樋口一葉」と評したけど、そこへ「21世紀版清少納言」も加えたい。目の付け所が独特で、思いの丈を変換する際の言葉の当意即妙過ぎるチョイス(少納言)とギリギリまで膨張しても氾濫までは至らぬ文章という川の綱渡り過ぎる制御から漂う絶体絶命的親和感(一葉)。陳腐な賞賛かもしれないが本当に「一葉+少納言」としか云い様が無い。自慢話は皆無で謙虚そのものだけど、実は自分で考えている以上にワガママというかマイペースな点も彼女らに似ていると云えなくもない。もちろん何度でも読みたくなる中毒性も含めて。
2015/09/19
メタボン
☆☆☆ 日記、エッセイ、詩。そのすべてにあてはまるような文章。ところどころ「発光」する一文がありはっとするのが良いところ。しかし読むそばからどんどんと言葉が掌からこぼれてゆくようで、はかない文章だった。
2021/06/04
kaoriction@感想は気まぐれに
なぜか泣きながら読みました。単行本も読んだけれど、この度文庫化された『発光地帯』。購入して再読。なぜだかわからないけれど、泣けて泣けて。泣きながら読んだのです。否、本当はわかってますよ。自分の気持ちですもの。自分の行動のふがいなさに凹み、落ち込み。でも、そんな一瞬でも生きていて、生きているということは、一瞬で、だけど、それは切なくて、生きてゆくということは切なくて、そして、傷になったり血が滲んだり。晴れたり曇ったり。生きているということは、それだけで光ってる。きっと、私のふがいなさも、そんな 光のひとつ。
2014/02/28
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