黄金色の祈り (中公文庫 に 18-5)
黄金色の祈り (中公文庫 に 18-5) / 感想・レビュー
セウテス
登場人物たちの中学生時代から、社会人となる迄を綴った青春時代の傷みを、敢えてミステリで描いた物語。トランペットなどの楽器を、誰が盗んだのか。その数年後、廃校となった学校の天井裏から出てきた死体は、自殺なのか他殺なのか。この謎解きをベースに構成されているのだが、正直共感できる登場人物も思い出も全く無く、たいへん辛い読書である。輝かしい青春ではなく、忘れ去りたい青春を感じる事は出来るのだが、如何せん主人公の自意識過剰なダメダメ感が、許容出来る範囲ではない。こういうのをイヤミスと言うのか、虚脱感しか残らない。
2021/09/14
papako
西澤保彦強化月間。いやー、面白かった!読み始めは、なんだ?青春もの?とあなどっていましたが、読み進めると、そこには多くの仕掛けがあった。主人公の独白は息苦しいくらいにイタい。自己欺瞞、自己陶酔、自己弁護、若者にありがちなイタさがこれでもか!と盛り込まれている。犯人のわからない盗難事件、死体の発見という謎もある。しかし、その謎よりも主人公の行き着く先が気になって一気に読めました。ほんと、これは『イヤミス』でした。大満足です。
2015/09/24
ちょん
まっことに失礼ながら西澤さんの最近読んでた本、氷菓の作者さん米澤穂信さんと勘違いしてました…。米澤さんにしては何か硬い感じするなぁ、でも学園モノやっぱりおもしろいなー、と…恥ずかしい( `ᾥ´ ) あまりにも身勝手で自己中思考の主人公。苦痛を感じるほどの親近感がありました…。プラス思考と身勝手って紙一重だ、自分も反省しよ…。
2023/01/07
tario
好感を持てない登場人物たち。読み終わって学生時代の教子さんの喋り方とか主人公の評価とかで、確かに中二チックな匂いがする。青春というより若さ故の過ち。甘酸っぱさ糖度ゼロ、ほろ苦さが散りばめられてひたすら読みづらい。嫉妬て欺瞞が渦巻きすぎ、生きづらいだろうに。面白かったけど再読はないな
2014/07/21
izumi
中学時代は吹奏楽部だったので、あるあるネタとして、楽しく読み始めました。だんだん読み進めるうちに、主人公のダメっぷりが、「これは私ではないか?」と思えるぐらい自分と重なり、心配で先が気になって、一気に読んでしまいました(誰にでも当てはまるような書き方をしているのかもしれないですが)。犯人は予想通りでしたが、ラストはどう解釈すべきなんでしょう?最後まで読んで、どこまでが主人公の思い込みなのか、わからなくなりました。ミステリーというより私小説。恵まれた「苦役列車」といった感じがしました。
2014/05/26
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