出雲の阿国(上) (中公文庫 あ 32-11)
出雲の阿国(上) (中公文庫 あ 32-11) / 感想・レビュー
ソーダポップ
安土桃山時代の出雲山岳地帯出身、女性芸能者「お国」の物語。ややこ踊りを基にして歌舞伎踊りを創設したことで知られている。女人禁制の歌舞伎舞台が女性であるお国が創設したことは興味深いものがあります。出雲大社の巫女であったお国は「城は持たぬが、天下一になった」女であり、上巻は秀吉の死まで描かれている。久々に読み応えのある著書に出会いました。このまま下巻へ突入。
2021/07/24
T2y@
なるほど。これは女流作家だからこそ描ける、“おなご”の性(さが)なのだろう。 躰からこみ上げる、情熱、妬み、痛み、喜び。 情感的な『傾奇者』阿国と、その男三九郎。 天下の舞台を目指し、一座を率いる彼の言動・行動が、野心よりも、ひどく理屈っぽく感じるのも、阿国との対象的な描き方によるもので、男女の視座の違いを、まざまざと思わせるものだった。 さて、「歌舞伎」創始者たる動きは上巻には見られず、時の権力者との絡みも、わずかに淀の方とのみだったが、そこはどのように展開して行くのか、下巻。
2016/07/02
けいこ
歌舞伎の創始者・阿国の物語も面白いけど、歴史的背景がしっかりしていて読み応えがありました。秀吉は百姓出身なのに、百姓に重税を課して土地に縛りつけたりして、恨まれていたんですね。切腹をした豊臣秀次が殺生関白と呼ばれていたことも始めて知りました。阿国の、ただ踊りが好きで一途なところは好感が持てるし、三九郎の上を目指したい気持ちも分かる。この二人の仲はどうなっていくのだろう。
2018/07/04
ken_sakura
ご馳走ヽ(´▽`)/僅かとは言え、「芸」で史実に名前を遺した「女性」、出雲の阿国を有吉佐和子が書いたら、それは必殺の予感♪( ´▽`)上巻は阿国が出雲を出て、豊臣秀吉の死まで。上巻から阿国と著者がボカボカ殴り合っているかのような熱を感じる好印象。燃えるぜ、下巻へ(^_^)
2017/05/09
RED FOX
「淀の川瀬の水車 みづぐるま 誰を待つやら くるくると」地震や洪水に翻弄される時代、天下人秀吉の検地と身分の固定からはみ出さんと踊り狂う孤独なお国に酔う。下巻が楽しみだが怖そう。
2024/03/15
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