出雲の阿国(下) (中公文庫 あ 32-12)
出雲の阿国(下) (中公文庫 あ 32-12) / 感想・レビュー
ソーダポップ
「阿国歌舞伎天下一」の幟がはためく歌舞伎舞台で運命に翻弄されながらもお国は踊り続ける。時代は、豊臣から徳川へと移り変わりお国も運命のように、生まれ故郷の出雲の斐伊川に帰ってくる。そして「父は鉄穴師、母は村下の娘」と、つぶやきながら最後にお国の胸に去来したものは何だったのだろうか。「花籠に月を入れて 漏らさじこれを 雲らさじと持つが大事な」最後のこの唄がとても印象的でした。圧倒的なスケールで描く感動の大作でした。
2021/08/01
ken_sakura
酔った♪( ´▽`)「好き」の一念で良い時も悪い時も踊り抜いた阿国の一代記。阿国の才と情念、傍らに傳介の純情。阿国を挟んで、才あるお菊、才なきお松の対照。阿国の男、三九郎と名護屋山三。悪役九蔵の活躍。有吉佐和子の才が走らない、才の溶けた剛の一品\( ˆoˆ )/少し泣いたラストはいつも通り素晴らしい(対に、物語の始まりが頭抜けて上手い隆慶一郎が思い浮かんだ(^。^))旧漢字で出版した中公文庫も褒めたい(雰囲気あった。随分ググったけど(^_^))どことなく物語の中の阿国に作者有吉佐和子自身を感じた。15冊目
2017/05/17
RED FOX
「斐伊川の瀬の上で跳ねながら水を汲んだ時を思い出せ。あれが私らの踊りの源じゃ」時の権力者の前で踊りつつ民衆の歓声を浴びて踊り狂う方を好む阿国。歌舞伎幟を日本中に真似され騙され辿り着く終盤に感動。
2024/03/18
とし
久しぶりに面白い歴史小説を読んだ。「天下一の女」と呼ばれるまでになったお国だが、その後の歩みも決して安泰ではない。個性豊かで万華鏡のような人間模様がすごく面白かった。三九朗やお菊に同情はできないが、名古屋山三の懊悩とその最期は切なかった。死ぬまさにその日まで踊り続けたお国の生き様は哀しくも見事で、その人生を創造し描き切った作者の手腕には素直に脱帽。
2014/08/19
マサ
お国の一座の人間模様、特に傳介との関係が深い陰影となって物語が進んでいく。お国の踊りを鑪の火柱と重ね合わせて感じながら、終盤、自身のルーツを見極めようとするお国の最期に感動。激しく燃え尽きた一生。これだけの火力を生み出すために鑪を踏み続けることが必要だったのだな。
2020/02/21
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