吉行淳之介娼婦小説集成 (中公文庫 よ 17-14)
吉行淳之介娼婦小説集成 (中公文庫 よ 17-14) / 感想・レビュー
ゴンゾウ@新潮部
戦後の赤線地帯の住人達の短編集。生きていく為に性を売る世界に飛び込んだ女達。一度この世界に慣れてしまうと再びまた戻ってきてしまう女達の心境が儚く切ない。身体だけの割り切った関係から本当に愛し合ってしまう。 本当はこんなに綺麗な話だけでは無かったに違いないが確かに実在した歴史なんだと思う。
2016/07/03
こばまり
殆ど既読の作品群でしたが、このように一つに集められますと、底光りするような魅力を湛えてなお一層胸に迫りました。二十歳やそこいらで読んだ頃にピンとこなかったのは相性ではなく、己の成熟が足りなかったのだと気付かされました。今も大して成熟しておりませんが。今年は吉行氏没後20年。
2014/12/17
ひなきち
どの短編も似通っている、しかし不思議と飽きることはなかった。著者は赤線を、日常のすき間にある「異世界」と捉えていたようだが、典型的パターンである「行きて帰りし」になってない話がけっこう多かった。娼婦の闇は、客をも侵食して丸呑みしてしまうのかもしれない。いまはない昭和の娼婦の実態に迫った、貴重な文化資料になりそう。ルポでもいいような気もするが、白昼夢のような心象風景が独特で、やはり小説として読む方がいい。
2017/01/31
佐島楓
小説などの中でしか見たことのない「赤線」という世界。収録されたエッセイをつぶさに読んでいくと、著者の実体験によるものが大きい作品ばかりということがわかる。しかし女性の心理、感覚までおそろしいまでにつかめている点はなんといえばよいのだろう。歴史的にはこういう時代もあったのだ、ということを知っておくにはよいかと思う(たかだか数十年前、戦後すぐのころではあるのだが)。
2014/08/23
カバミ
確か江國香織さんが『娼婦の部屋』を絶賛していたので手にとった。吉行淳之介の小説は初めて読んだが、私個人が『娼婦』という言葉から連想した、ふしだらな内容ではなく、とても綺麗な文章で、景色で、人物描写で、心が洗われるようだった。
2017/01/10
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