「歌」の精神史 (中公文庫 や 56-2)
「歌」の精神史 (中公文庫 や 56-2) / 感想・レビュー
はちめ
著者の作品は宗教史の関係など何冊か読んだことがあり尊敬しているところであるが、それらにもまして刺激的な一冊となった。芸能は専門ではないだけに美空ひばりから西行まで通低させる俯瞰が可能になっているのだと思う。
2016/02/03
街場マチ子
図書館でピンときて大正解。現代の第一級の教養人といえるだろう山折哲雄という人が、なぜ斯様に「第一級」なのか、これを読んでつくづく痛感した。ひとつは、自分より幾世代も下の、教養的にははるかに「格下」といっていい人の著書や言葉であっても、とても素直に純粋な知的好奇心と感受性をもって自分の中に取り入れる柔軟性の持ち主であること。そして、その柔軟性をもって、演歌から短歌、浪花節、平家物語、西行、親鸞の和讃、今様、八十と白秋へと、自在に論を展開していけるだけの、圧倒的な教養の広がりと深さ。流石としか言いようがない。
2017/02/28
さの
マクールの渡邊十絲子さんのコラムで紹介されていたので早速購入。歌とか詩とかの専門書的な感じで素人にはちょっとしんどい部分も多いのですが、「叙情」に関しては共感することも多く、現代を考察するためのツールとしてはありだと思います。
2016/02/05
かわくん
著者は宗教学者であるが、文化一般への造詣も深い。近年の短歌について「身もだえするような感情の吐露が感じられない」と指摘する。現代ではむしろ歌謡曲とりわけ演歌にそれが表現されているという。話はそれから大きく展開し、日本仏教の和讃などについても言及。歌は世に連れ…とは言うが、日本人の精神の在りようと表現について少し考えさせられた。
2016/02/27
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