笑うハーレキン (中公文庫 み 48-1)
笑うハーレキン (中公文庫 み 48-1) / 感想・レビュー
KAZOO
道尾さんの最近の文庫です。車を持っているホームレスが主人公で、事件があると思いきやそんなにあまり事件らしいものは無く話が淡々と進みます。最後のほうでは少し展開が速くなりますが、それでも・・・。このような世界もあるのですよ、ということなのでしょうね。いろんな分野の作品を書ける感じがしました。
2016/02/22
takaC
「テンポがいい」とか「テンポが悪い」とか言いますが何が基準なんでしょうね。そもそも「テンポ」って「速い/遅い」と捉えるものであって「良し悪し」ではないような気もしますがどうなんでしょう。「テンポ」においては「良い/悪い」と「速い/遅い」は同義ってことでしょうか。小説なら話の展開の速さが自分が読解するのにちょうど「良い」ときにそう言えばよいでしょうか。だったらこの『笑うハーレキン』は「テンポよい」小説でした。(前にも一度読んだことがある話だからかもしれないけど)
2016/10/07
nobby
ホームレスが過ごすスクラップ置場が舞台、これは久々の黒道尾かと期待したがすっかり優しい(笑)節をまたいでの勘違いを誘ったり、何かあると思わせての伏線回収はさすが。中盤までは少なからず起こる事が淡々と描かれるが退屈ではない。そして終盤一気に動き出して温かい収束を迎えるのは気持ちよい。ハーレキン=道化師、これが涙を流すとピエロの薀蓄にはなるほど!誰もが仮面をかぶって様々な難題に対峙している、そのままにするも外すも本人次第。
2016/02/25
かじ
久々の道尾作品。本当に様々なジャンルを描く作者にとっても、読後の爽快感とエンタメ感は『ならでは』と言える。誰しもが仮面を被って生きている。その仮面の下の自分に決別をつける人、隠して生きる人、どんな仮面かは人それぞれ。でもその自分と向き合うことで前を向いて進める。『明るいってことは、寂しいことだ。よく笑うってことは、悲しいことだ。』という文中の言葉が強く残った。
2016/05/24
ゆか
道尾作品は「向日葵の咲かない夏」以来で、正直よく分からない作品で不気味なイメージが残っただけでしたが、本作は個人的に好きな種類だったので、1作だけで判断しなくて良かった〜!と思ったのと、1作目のイメージってやっぱり大切だと改めて思った。主人公は、希望なく絶望しまくりの中年男性。昔は景気よく商売していたものの、今はホームレス。仲間と呼べるのもホームレス。でも、その中にもしっかり社会との繋がりがあって、最後には夢持てる内容になってました。道尾作品を嫌いな人も、この作品ならイケるのでは?
2016/09/15
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