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瓜子姫の艶文 (中公文庫 は 38-2)

瓜子姫の艶文 (中公文庫 は 38-2)

瓜子姫の艶文 (中公文庫 は 38-2)

作家
坂東眞砂子
出版社
中央公論新社
発売日
2016-10-21
ISBN
9784122063013
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瓜子姫の艶文 (中公文庫 は 38-2) / 感想・レビュー

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ミカママ

【遊廓部課題】江戸時代後期設定なのだろうか。江戸にまで支店を持つような大店の女将りくと、彼女の夫を取りあう遊女・伽羅丸の三角関係。ふたつの視点で物語が進んでいく中、伽羅丸の生い立ちに関するミステリーも絡み、なかなかに濃い内容。ひとりの男性を取りあう女性の手練手管や嫉妬心にも思わず寄り添ってしまう。期待せずに読んだ官能シーンも素晴らしかった。坂東さん、もう読むこともないと思うが。

2022/12/07

ヴェネツィア

昔話「瓜子姫」をなぞりながら失われた過去へと遡行してゆく物語。こうした手法の先蹤をたどるならば、「マザー・グース」の歌に従って次々と起こる殺人事件を描いたヴァン・ダインの『僧正殺人事件』が、まずは想起される。続いてはアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』等も。本書は坂東眞砂子最後の長編小説なのだが、それは奇しくもアイデンティティ回復の小説作品となった。作家は最後に原点回帰を志向したのであっただろうか。そして、虚構と現実の交錯を描いたこともまた意味深いように思われるのである。

2019/06/29

takaichiro

正妻と遊女が色気漂うナイスミドルを取り合う話。正妻且つ老舗女将の余裕、売れっ子遊女としての野心を交互に描き、お互いの感情を立体的に重ねていく。正妻を茶に少しずつ毒をまぜて殺し、遊女は正妻に。どこかで聞いた様な展開だが、ここからが坂東ワールド。ナイスミドルはまた若い遊女にうつつを抜かす。許せない2代目正妻はふとしたことから小さいころ亡くした実母と夫との関係を知る。母の記憶を辿りながら、愛する夫を改めて見た時にフラッシュバックする記憶。えっそういうこと!?女流作家が表現する女の情念。なんと激しいことなりや。

2019/08/15

ann

江戸時代。熱狂的現象の伊勢までのお蔭参りを背景に繰り広げられる、男と正妻と遊女の、一見どこにでもあるような艶物語。と思ったら大間違い。奥州弁で語られる天邪鬼と瓜子姫の寓話。それを浮き彫りにするお蔭参りの大喧騒。それが頭の中にぐわんぐわんと鳴り響きながら、咲いてるうちにぽとりと落ちる椿の花首を思い出させるような、色に例えれば赤黒い。とてもやり切れない物語だった。あとがきは酒井順子氏。【遊廓部課題本】

2020/09/27

豆乳くま

お蔭参りが発生した松坂、木綿問屋の主人亥右衛門を巡り妻おりくと遊女伽羅丸が愛憎繰り広げる中、瓜子姫の民話から伽羅丸の不明の過去か少しづつ思い出され、最後こう来たかの驚きと全てが収まる収束感。上手い。序盤から中盤は中々話にならなかったが後半一気読みでした。板東さん2作目でしたが色々読みたくなります。

2016/12/08

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