モナ・リザの背中 (中公文庫 よ 39-5)
モナ・リザの背中 (中公文庫 よ 39-5) / 感想・レビュー
KAZOO
非常に奇妙な感じのする(私は嫌いではないのですが)小説でした。主人公は大学の先生でその助手とのやり取りが結構面白いのですが二人ともある世界に迷い込んでしまいます。最初はダ・ヴィンチの書いた絵の「受胎告知」の中に入り込みます。そのなかにある人物が登場しますが最後に明らかになります。次はアンドリュー・ワイエスの絵の中です。その次は助手が風呂屋の富士山のある絵の中に入り込みます。また俵屋宗達の風神・雷神も出てきたりと楽しくなります。いつもながらゆったりとした感じがあります。
2024/04/17
佐々陽太朗(K.Tsubota)
この小説はある大学教授が絵の中に入り込んでしまう話ですが、書き出しの3頁を読んだ私はこの小説の中に取り込まれてしまいました。理屈や秩序なんぞなんの意味も持たない絵の中の世界を理解しようとしても無駄なこと。吉田篤弘氏の諧謔を楽しむのみ。そう言いながら、何度も読み直し、何らかの理屈と意味を見出そうとする私は救いようのない俗物だと気付く。
2017/03/06
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
☆5.0 大筋は「絵の中に入ってしまった男の冒険物語」 なのでしょう。でも吉田さんの物語なのでその通りなお話ではありません。 いつも通りやはりあちらこちらへふらふらな奇想天外なお話です。 今まで読んだ吉田さんの中でこれが一番に面白いな。
2021/01/11
Eee
今回も篤弘さんの世界に浸りました!途中途中、何の話だっけとなりながらも、楽しく読み進めていきました。絵画の世界へ迷い込み、コインランドリーから出てくる、現実か絵画の世界か、どこにいるのかわからなくなる感覚。篤弘ワールド炸裂で笑いながら読みました。何事にも奥がある、その先へ進むのは自分自身が決めることで、後戻りすることも悪くない。それは自分の選んだ道なのであるから
2017/06/18
コジ
これまで読んだ吉田篤弘作品は、心に訴えかける優しげな作品と、思考に訴えかける難解な作品の2タイプがあった。本作は後者の吉田篤弘。冒頭から多彩な言葉遊びが駆使されてリズミカルで読み易くはあるが飲み込み難い。それでも何とか付いて行く。するといつのまにか絵画の世界へ連れ行かれる。そこは妄想、幻想、思想の世界か、はたまた誰かの思考、志向、指向した世界なのか?とにかく特異な世界観、不思議の国のアリスが得意なら楽しめる。そうでないなら永遠に敬遠したくなるかも知れない。ほっこりした吉田作品をゆっくり読みたい今日この頃。
2017/05/03
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