数えずの井戸 (中公文庫 き 31-4)
数えずの井戸 (中公文庫 き 31-4) / 感想・レビュー
テツ
番町皿屋敷をモチーフにした京極夏彦のお話。巷説百物語シリーズとリンクしているのでファンには嬉しいキャラクターも登場。中公文庫版は未読だったので久しぶりに読みました。懸命にそれぞれの形で踠きながら生きていてもみんな何かが欠けている。欠けた人間がお互いに惹かれあい拒絶しあい己に欠けた何かをそのままに抱きながら進展する物語。結末がハッピーエンドだとは全く思わないけれど喪失感と焦燥感に抱かれながら必死に己の形を示そうと存在し続けた姿には人間の悲しさと共に美しさを感じる。
2017/11/08
二木弓いうる
皿屋敷の怪談を題材にした、悲劇の物語。ヒロインの菊に感情移入して読んでいたので、最後はとても切なく感じた。 読み終えてから、もう一度冒頭に戻って序を読んだ。改めてすごく良い本だなと思えた。
2024/11/05
Yuka
700頁の大作を休み期間に充てていたけど2日で読み終わってしまった…!! 京極夏彦作品は実は初めて。「皿屋敷」はぼんやりと話は知っていたけれど、なんだか悲しい結末。最初はなかなか入り込めない気がしたけど、気づくと読み進んでいて不思議な感覚でした。 「足るを知る」ができていたのは菊だけだったのに、欲があったり虚無感があったり。時代的に抗えないものがあるのかもしれないけれど、ただあるがままに満足できないことでもたらされた悲しい結末でした。
2023/07/07
yuka_iruka
残忍で残酷な最後なのに儚く美しい話でした。菊や三平の様に無垢であるがままにただ漠然と生きている方が、満ちた欠けたと煩悶しているお武家様より幸せなのだな。小股潜りの又市や徳次郎が絡んでいるから、もしや最後は菊や三平は穏やかにと思っていたのですが…最後の菊の言葉はなんったのでしょうか…
2020/10/23
麻由
徹底的に「自分の論理」でしか動かない人たちによるスラップスティックコメディ&サスペンス。他者の論理を一切解しない人たちが自分の論理だけで話が進むとこうなる、という実験小説みたい。この分厚さでリドルストーリーかよ! と思わないでもないんだけど、まあそれも京極かなあ。少し時を置いて読み直したさはある。
2022/04/05
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