武揚伝 - 決定版(下) (中公文庫 さ 45-13)
武揚伝 - 決定版(下) (中公文庫 さ 45-13) / 感想・レビュー
如水
本巻は五稜郭戦で話はほぼ終わります(その後の話を読みたかったのですが💦)。この巻頃から武揚が何をしたか?を良く知っていたので3巻纏めた感想を。『開陽』で始まり『開陽』で終わる。星(北斗七星)の意味でも船の意味でも。コレに尽きると思われます。後、『共和制』を日本国内では先駈け、『蝦夷共和国』を作り理想郷を追い求めた…が実は建前は…と言う所も。ザっと考えても戊辰戦争初期では考えられない様な戦略、思想が五稜郭戦では敵味方共々築かれていた、と考えると物凄い速さ(約1.5年で)の進歩だった、と思える物語でした。
2021/09/17
rokubrain
武揚が新しい日本に描いた夢はどのようなものだったか?新政府に相いれない人々で共和制を作る”蝦夷共和国”の構想は、海戦、陸戦とも国際政治力や新しい戦術を駆使したが、総力戦で叶わず敗れる。その後の新政府での事績も多々あり、世間には、「二君にまみえた裏切り者」という評価もあるが、彼の本質は権力から見た側にあるのではなく、「日本の近代化」に忠誠を尽くすことにあった。というのが佐々木さんの見方のようだ。武揚軍の兵士の間で自然発生的に歌われるラ・マルセイエーズ”の情景が印象に残る。
2024/08/31
誰かのプリン
江戸より脱出した榎本艦隊を待っていたのは、嵐により主要艦開陽丸の座礁だった。敗北の全ての予兆はここから始まる。時代は変わるけど、源 義経が九州に逃げる時やはり嵐に遭って、九州落ちを断念したんだよね。★★★★☆4.5
2018/09/15
入江
うーん、面白いんだけど…。榎本武揚からみた幕末、設定がまず面白いです。徳川慶喜や勝海舟にこそが欠陥であった立場で描かれる。開陽丸の最期も知りませんでした。なにより、共和国を作ろうとしていたことに驚く。タイトルも『蝦夷共和国』にした方がいいんじゃないでしょうか、って気に。何よりも、主人公が出木杉君なので、悲劇だなぁとは思いますが心に残りません。あの時代に、あそこまで考えたのだから、もっとめちゃくちゃな人なのでは? 「武揚伝」なら、あの後こそ、もっと見たいなぁ。
2019/01/28
Naoko Fukumi Fujita
3番目に好きで、誕生日が同じ作家の本。きっかけは週刊文春や週刊新潮の連載にはまったことでした。時代小説の三部作、しばらく積読状態でしたが昨年秋にラジオドラマの放送があり、「英龍伝」に続き読み始めました。こちらは下編です。一番好きな作家の「ジョン・マン」連載を購読しているため、すんなりと読めました。蝦夷地が舞台、節目節目に訪れる天候不順、そしていつも描写は美しくせつない・・・。あとがきもよかったです。解説にもある「M」は私も落としどころと感じました。これからも応援しています!
2019/01/21
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