ちいさな桃源郷 - 山の雑誌アルプ傑作選 (中公文庫 い 111-4)
ちいさな桃源郷 - 山の雑誌アルプ傑作選 (中公文庫 い 111-4) / 感想・レビュー
Shoji
桃源郷とは人里離れた理想郷のことらしい。この本に綴られている桃源郷は、深い深い山奥だったり、里山だったりする。どのお話も、自然を相手にした素朴で平凡な生活を題材にしている。山の空気を吸い、川の水と触れ合い、自然に逆らわず、動植物と優しく共存し、森を敬う質素な生活。まさに桃源郷だと思った。
2018/04/27
kawa
山行きの最低限必要物資は、完璧なシュラフサック・真鍮製の洗面器・独身蚊帳(冒頭の庄野英二「三種の宝器」より、英治氏は愛読する庄野潤三氏のお兄さん)の由。そこより何段もレベル落ちの私なのだが、最近ベランダ用に使うアウトドア蚊帳を購入して悦に入り状態。それだけで手に取って良かった一作。山をやらないので正直なところイメージ掴めない作品もあるのだが、「蒼い岩棚」(三宅治氏)のような自然に対する丁寧な眼差しは、家の周りでも可能・堪能できるように思えることが収穫だ(一万円選書「イワタ書店」店頭で購入)。
2023/07/13
ちぃ
【一万円選書】で届いた本。山をテーマにした本は最近よく読むけれど、民俗学の観点から書かれたものや小屋番さんの話が多かった。これは、子供時代を山里で過ごした人、山歩きをしながら文筆で生計を立てている人などが綴った「エッセイ」。書かれた時代が昭和ということもあって、寄稿者の視線の先には山の暮らしがまだあたりまえに存在する。こういうの、もうなくなってしまうのかなぁ。なくしたくないなぁ。都会の人がレジャーで進出してきて彼らの築いたサステナビリティが崩れ規制が強まったのはオリンピックのための宣言の構図に似てる…
2021/07/20
Pー
奥深い山間の小さな村落を訪ねあるく山エッセー33編。こんな里山歩きがしたいな~。はるか昔に歩いたことがある風景が数作あって忘れ去っていた懐かしい風景を思い出したりしてとっても素敵な作品でした。
2018/11/13
じゃがいも
昭和33年(1958年)から20年ほど続いた山の雑誌に掲載されたエッセイ集。かって日本の山岳地や田舎にあって今は失われた桃源郷。山中の老夫婦と訳ありな女中が営む地図にない宿に訪れる画家は柘植さんのマンガのような「塩川鉱泉」、山間部で子供達を静かに見つめる中学校長の「峠の日記」、美しい乗鞍山麓で野菜や蜜蜂、チーズ、ヒメマスなど次々と失敗しながら時代に流され変貌する村の風習を惜しむ英米学者「山村で暮らす」など素朴で昭和の風が吹いている30数編です。
2019/07/28
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