ポースケ (中公文庫 つ 31-1)
ポースケ (中公文庫 つ 31-1) / 感想・レビュー
ケイ
何となく氷河期世代が書かれたのかなと思い、読後に調べ、あ、だよねと腑に落ちる。そして、出てくる舞台が私が中学生の時に放課後にブラブラしていた辺りだから(そして最近また。でも前より少し垢抜けた界隈)、通りや人を勝手に想像して、舞台を脳内で作り上げてしまった。呼び名しか知らない人にも、漢字で書かれた名前や苗字が表に出る社会生活がある。人生だもん、それぞれみな、傷つき、ツラさや問題も抱える。そして、癒しも時々転がっている。そんな優しさが散らばっているお話しだった。中学生と女の先生のところ、よかったなあ。
2022/03/09
buchipanda3
「一喜一憂を延々と繰り返すことこそが、日々を暮らすということ」。十喜子さんの何気ない言葉が素直に胸に残った群像劇。良かった。ヨシカが営むカフェに集う女性たち。事情を抱えた従業員、会社の人間関係に悩むお客さん、小学生なのに学校での気苦労が絶えない友人の娘など。ごく普通の人たちだが、社会と自分とのすれ違いの悩みは内へ溜まる一方。でもパッと解決される訳ではないが、一喜が一憂を取り除いてくれることがある。その後も憂はあるだろうが喜だってあるはず。とき子さんが十喜子となり、名前の通り彼女にたくさんの喜をと思った。
2022/04/30
ばう
★★★★ポースケ。ポースケ?最初そういうあだ名の人物の話かと思ったらなんとノルウェーの復活祭のことでした。『ポトスライムの舟』の5年後の物語。前作にも登場したヨシカの経営する喫茶店に集う7人の女性の日常が描かれています。小学生からOL、主婦、ピアノ講師、就活に苦労している娘のいるような女性までが皆、別に大事件が起こるわけでも無く、平凡な、でも疲れるし悩みも尽きない毎日を、それでも彼女たちは前を向いてしっかり生活しています。みんな悩みを抱えていてもそこから逃げずに生きているところが津村さんらしくて好き。
2022/09/23
papako
『ポトスライムの舟』の続編。タイトル見たときに、絶対ポトスライムに『ポースケ』って名前をつけたんだ!と思ったら、全然違った。奈良でカフェを営むヨシカと、そのカフェにやってくる人たち。日常のもろもろ。そして『ポースケ』じっくり読ませてもらいました。芥川賞作家さんだけど、津村作品は好きだし、読みやすい。そしてめっちゃ前に読んだ『ポトスライムの舟』覚えてた自分、えらい!
2020/03/07
TATA
奈良のカフェで開催される関係者皆さんによる一大イベント「ポースケ」。まあ、そこに至るまでその皆さんの事情や葛藤が大変生々しく、読んでるこっちがハラハラ。ホント、そのいちいちがやたらリアルで、決して明るい話ではないのですが、津村さんならではのユーモアがあちこちに散りばめられて個人的には大好きなのです。
2022/11/29
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