銀色のマーメイド (中公文庫 ふ 48-2)
銀色のマーメイド (中公文庫 ふ 48-2) / 感想・レビュー
さてさて
いわばポンコツ集団であった弱小水泳部が再生していくこの作品では、『出たいんだ。本当の自分として、弓が丘杯に出たいんだ』という強い思いが結実していく中学生たちの姿を見ることができました。そんな中で、主将として『俺は、お前の”バトン”をちゃんと運べているだろうか』と亡き月島に呟く龍一の主将としての成長は、リーダーを任された人間なら誰でも思い悩む、人と人が繋がっていく、まさにその瞬間を見る物語でもありました。「マカン・マラン」の世界観にまさに直結する物語。胸が熱くなるその結末に深く感じ入った、そんな作品でした。
2020/12/02
mayu
主将が亡くなり廃部寸前となっていた水泳部。個人で戦うことしか興味がなかった新しい主将が、泳げなかった後輩たちを育て導いていく。同調しないから排除じゃなくて、個性を活かせる場所があるって素晴らしい。ありのままの自分を受け入れてくれる仲間がいるのは本当に心強いことだと思う。弓が丘杯までのそれぞれの成長と生まれたチームワークが眩しかった。水泳部員みんなが愛おしく思えてくる。変わらずあたたかく見守り支えてくれるシャールさんに会えるのも嬉しい。マカンマランのスピンオフのつもりで読んだが、この物語に惹きこまれた。
2021/01/11
夜長月🌙@新潮部
ここでマカン・マランのシャールさんに出会えるとは。シャールさんの魅力は「真っ当なことを話せる人」であることです。世間体などを越えて、本当に自分に必要なものを手に入れるには自分に正直で真っ当でなければなりません。人間誰しも悩みを抱えています。得てして自分だけが「特別な」悩みを持っていると思いがちですが何も特別なことではないのです。物語はミッションを与えられた中学生の成長ものですが大人も共感すること間違いなしです。マカン・マランシリーズのファンには特におすすめ。
2022/04/25
ケイト
涙が止まらない!人を信じるって、自分を信じるって簡単じゃないけど。龍一は今まで自分に関係ないものには向き合ってこなかった。自分1人ではなし得ないこと、襟香の願いも・・・理解しようと努力する事で道が拓ける事を知った。大人は世間の目とか常識にこだわる。中学生と侮っていた教師柳田の眼差しも変わっていく。大会シーンは手に汗握り、一生懸命な姿にまたしても涙。自分達で考え弱さを知って、負けを認める。シャールさんやジャダの存在って、『居場所』なんだなぁー。私も勇気をもらったよ!青春に輝く未来に乾杯!!
2021/06/12
アルピニア
マカン・マランシリーズの0章にあたる作品と知り、手に取った。龍一の所属する第一中学校水泳部は、面倒見が良く、後輩にも慕われていた部長タケルがいなくなり、愛好会への降格を迫られる。龍一は、自分の都大会出場のためになんとか部を存続させようと奮闘するが、部員にスカウトしようとした襟香は深い苦悩を抱えていて・・。周囲に興味がなかった龍一が変わっていく様子、少しクセのある部員たちが襟香を受け入れる様子に胸が熱くなった。踏み込まなければ見えないことがある。そしてやはりシャールさんの言葉が心にしみた。
2021/10/15
感想・レビューをもっと見る