怪獣-岡本綺堂読物集七 (中公文庫 お 78-7 岡本綺堂読物集 7)
怪獣-岡本綺堂読物集七 (中公文庫 お 78-7 岡本綺堂読物集 7) / 感想・レビュー
keroppi
タイトルに惹かれて読んだのだが、もちろんゴジラのような怪獣のことではない。文字通り怪しい獣ということか。呪いや憑き物や因果、等による怪異短編集。狐、蛇、海亀、鯉、鼠といった動物たちが媒介となり異界と交わる。現代では妖怪も住みづらくなったとかの水木大先生もおっしゃっていたが、このような怪異譚も、この時代ならではなのだろう。
2018/12/30
翠埜もぐら
怪談とか恐怖と言うほどでもなく、何やら面妖で不可思議な話と言う感じ。亀やら狐やら鶏とか動物がらみの話が多く、狐の話はちょっと中国テイスト。でも聊斎志異みたいに結婚まではしないのね。そんな中で杉浦日向子さんの「百物語」の八百屋お七の元ネタに行き当ってちょっとびっくり。彼女のしっとりした絵で鶏の頭が人間の少女になっているのがすごく印象に残った話でした。綺堂氏の語りかけるような物静かな言い回しがこの手の話にはぴったりですね。
2023/05/19
澤水月
綺堂自身が編んだ短編集最終巻。1934、没5年前発表の標題作は女性の色情狂が主題、現代想起するものとは全く異なる。解説者によるフロイトの自我と無意識の理論導入説に納得(同時代人!)。この巻だけ1本の短編名が巻名で内容にばらつき感があること、不思議なことに元本『怪獣』から「廿九日の牡丹餅」1本だけ未収録(光文社時代小説文庫『蜘蛛の夢 新装版』に収録)、なぜ?と本書そのものを推理したくも…
2018/11/08
ぶんぶん
【図書館】いよいよ、岡本綺堂読物集も最終巻。 しかし、振り返ってみれば「山本タカト」の美麗な絵に助けられている印象も強い。 綺麗だけど怖い様な画だ、ちょっと謎めかしい美人画が多い。 綺堂の怪談話は理屈に合わない、しかし、そこが怪談話のセオリー、摩訶不思議な空間に誘う。 こういったストーリーテラーは、もう居ないのではないでしょうか。 乱歩しかり、横溝しかり、怖い話の語り手は綿々と繋がっていたのに・・・雰囲気、書き方、時代が許さないのでしょうね。 江戸、明治、大正、気分に浸る、良き時代の物語、終幕です。
2021/08/21
Ribes triste
待望の最終巻。岡本綺堂の語り口のうまさに酔いしれました。怪談・奇談・ミステリーと盛りだくさん。山本タカト氏のカバー絵と口絵も期待を裏切らない美しさでした。このシリーズは、愛蔵本にしたいと思います。
2018/10/31
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