小林秀雄 (中公文庫 お 2-17)
小林秀雄 (中公文庫 お 2-17) / 感想・レビュー
双海(ふたみ)
「小林秀雄さま、」という弔辞が短くも悲しい。お互いを高め合うことのできる友人は大事だ。
2019/05/07
原玉幸子
大人の小説を読み始めた切っ掛けの一冊が大岡『野火』で、小林が大岡の家庭教師だったことや、詩人中原中也と女性を取り合って、女性は小林と別れた後も中原の元には戻らなかった等のエピソードが、ガキの頃の彼等への漠とした記憶でした。その後、小林は短編エッセイ『人形』はいいが、骨董好きの酒飲みとの印象で、又、大岡『武蔵野夫人』は古い時代の感性しか感じなかったことでも、最近は「憧れ」が逆に振れた印象です。本書は、作品と呼ぶには程遠い小林に纏わる大岡のエッセイ他で、史料的な意味付けでしかありません。(◎2021年・春)
2021/03/19
月をみるもの
高校とか大学の時の先輩には、年(というか学年)の差が一年であっても、一生(じじばばになっても)逆らえない、、ということがよくわかる。ランボーの詩をどこかで読んだことあるよなあ、、、とずっと考えてみた結果、「ぽっぺん先生と笑うカモメ号」の見開きにのってた福永武彦訳であったことを、ようやく思い出した。。 https://bookmeter.com/books/527699
2020/08/24
渡邊利道
19歳で初めて出会ってからの交友を踏まえて様々な折に触れて書かれたいくつもの文章を集めた本。小林に多くのことを教えられながら、敬意を保ちつつも離れた場所で仕事を続けた著者ならではの冷静な筆致が、同時代の小林の存在の大きさをよく写しているが、何と言っても全編に横溢する大岡の毒舌ぶりがひどすぎて、昔の文学者というのはまったくもって口が悪いものだと呆れつつ感心した。悪口が常に即物的なのが成程作家本性をよく表している。
2019/02/02
うえ
江藤淳『小林秀雄』「の執筆をすすめ、資料を提供したのはわたしである。…江藤氏がどう処理するか、正直、少し意地の悪い好奇心があったことを告白する。しかし…『私小説論』や『ドストエフスキイの生活』、戦争中の『文學界』同人の動きとからみ合わせて、一大交響曲に組上げたのである。そして、これは小林秀雄論として画期的なものとなった。…氏には小林の知らなかったイギリス流の知恵がある。それは火にはいっても焼けずに通過できるていの保守主義であって、フランスのシンボリズムの系統を引く小林の安住できないものである」興味深い。
2022/08/11
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