完全版-若き日と文学と (中公文庫 つ 3-30)
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完全版-若き日と文学と (中公文庫 つ 3-30) / 感想・レビュー
Gotoran
辻邦生と北杜夫の若い頃の文学体験を語った対談集。お二方は、「端正」と「ユーモア」で形容されるように、個性の全く異なる作家でありながら、旧制松本高校で邂逅して以来、生涯固い友情で結ばれていると云う。青春の日々、敬愛する作家、自作までが闊達に語り尽くされている。1970年代に行われた対談に加え、単行本未収録を含む1955年から1986年にかけての5編が増補されている。好みのお二方(辻邦生と北杜夫)が語るトーマス・マンが実に興味深かった。
2023/08/28
Book Lover Mr.Garakuta
【図書館】【速読】:両氏の対談本。情が熱く語れている。お二方とも人気作家であることの片鱗が垣間見れる本だった。
2022/05/27
風に吹かれて
両名の全対談を収録。世界の中で生きていくとき、『理』でもって受け止める辻邦生、『純』で受け入れる北杜夫、本書を読んでそんなふうに思った。もちろん両名とも深く熱い『情』を携えている。➡
2020/04/07
紙狸
2019年刊行の「完全版」。幹にあたるのは1970年の単行本。北杜夫の読者なので、辻邦生が旧制高校からの友人で、『ドクトルまんぼう航海記』にも登場するのは知っていた。対談は、北が脱線しがちで、辻がフォローして進行していく。源頼朝と義経を語ったかしょが興味深かった。日本人は、義経に同情する「判官贔屓」の心情に支配されてきたけれど、「逆の強靭さ」が育ってもいいーと二人は一致する。辻は日本人には〈生に対する一種のふてぶてしさ〉が必要だとも言っている。辻邦生の作品も読んでみようか、と思った。
2019/11/29
角
辻邦生と北杜夫の対談本「若き日と文学と」に、その他の二人の対談を増補した完全版。現在読むのが困難なものも多く、刊行をまずは喜びたい。読んでしみじみ思うのが二人の友情と、息の合い具合。北杜夫が攻めて辻邦生が受け止める。お互い茶々を入れつつ鋭い議論を積み重ねる。二人の傍で座談を聴いているような、そんな愉しくも充実した読後感。ともあれ次は『完全版 灰色の石に座りて』をぜひ……。
2019/08/14
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