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成城だより-付・作家の日記 (中公文庫 お 2-18)

成城だより-付・作家の日記 (中公文庫 お 2-18)

成城だより-付・作家の日記 (中公文庫 お 2-18)

作家
大岡昇平
出版社
中央公論新社
発売日
2019-08-22
ISBN
9784122067653
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成城だより-付・作家の日記 (中公文庫 お 2-18) / 感想・レビュー

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やいっち

付録の作家の日記は作家が意気軒高だったころのもの。  大岡昇平がこんなにゴルフ好きだったとは意外だ。まだ若い時代の話だが。これだけ本や文献資料漁り、執筆しながらも、文壇(懐かしい言葉。今もあるのかな)仲間とは、ゴルフコンペでの交流が盛ん。出版社に作品提供を依頼され、創作に集中しなきゃと思いつつ、ゴルフに興じてしまう自分を忸怩たる思いで反省する…も。あるいは作家としての行き詰まりを内心感じていたのか。

2020/02/02

踊る猫

清潔な日記だ、という印象を抱く。ここには嘘の匂いがない。虚栄がなく、飾りがない。少なくとも私は読者としてそうした大岡昇平の、対象との「ガチンコ勝負」で書かれる日記に非常に清々しい思いを感じる。そして、このように映画や文学と「ガチンコ勝負」できる知性を備えた作家が存在し得たということに驚きを感じてしまった。今でももちろんTwitterを覗けばひと山いくらで大岡昇平めいた「批評」を行っている作家はゴマンと現れるだろう。だが、ここまでフェアネスを体現して、かつ恥をかくことを恐れないで書き続ける人はそう居ないはず

2022/07/29

amanon

7年ぶりの再読。その間に自分も年を取ると、本書で度々言及される、疾病や体力低下の描写が他人事とは思えなくなることしきり。それと同時に、こうならないように今から体力維持に努めようと思うことしきり。また、古稀を過ぎてから、自分より年少の知人を見送るという体験にも、7年前には覚えなかった痛切さを感じる。また、それと同時に老いてもなお、執筆、読書、知人との交流への情熱を保ち、世相に目を光らせる果敢な姿勢に感服。戦争への危機感を百年一日と笑う人がいるかもしれないが、この危機感があってこその今日の平和とも言えるかも…

2020/05/03

糸くず

「成城だより」での『地獄の黙示録』に興奮する七十代の大岡も十分にエネルギッシュであるが、「作家の日記」でただひたすらゴルフに打ち込む五十手前の大岡のエネルギーはどこか狂気に近いものがあって、こちらのほうが面白く読めた。特にフィリピンに派遣される遺骨収集船「銀河丸」がかつての駐屯地であるサンホセを訪れることを知ったときの大岡の動揺、「銀河丸」の出帆をテレビで観た大岡が書いた詩(「兵士たちが死の間際に塹壕に書きのこす文体」三島由紀夫)が凄まじい。

2020/04/09

午睡

以前、講談社文芸文庫から上下二冊で出ていたのを読んだが、めっぽうおもしろく、これは生涯何度か読みかえすことになると予感したものだ。今回は中公文庫から三巻組で出たので買い直して再読。相変わらず、おもしろい。日常の些事と思弁。著者の数学への強い関心など、作家らしからぬ志向も。前回の講談社文芸文庫版との大きな違いは、1950年代の「作家の日記」が収められていること。「旧友坂本睦子の自殺を知る」の記述にドキリとする。坂本睦子とは大岡昇平の愛人だった女性。関係を知った妻に自殺未遂されて昨年別れたばかりだった。

2020/04/12

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