戸惑う窓 (中公文庫 ほ 16-9)
戸惑う窓 (中公文庫 ほ 16-9) / 感想・レビュー
KAZOO
堀江さんの久しぶりの文庫です。今回の本には「窓」がキーワードとなっていてそれにまつわるさまざまなエッセイが25も収められています。日本のむかしの和歌から、内外の作家あるいは評論家の文章などの窓にかかわる箇所絵劣りだしてご自分の感じたことや思い出などを語っておられます。相変わらず文章が素晴らしく私にしてはじっくりと読みました。
2019/11/25
佐島楓
エッセイなのではあるが世俗的な内容を、意識的にかどうかわからないが、排除しているため、文学的なうつくしい文章を楽しめる。理解するのにこちらにもある程度以上の教養を要求してくるため、読者が振るい分けられる傾向がある。そこをクリアできるかどうか。題材としては印象的な文章がいくつかあった。
2019/11/17
aika
すべての切り口は、小さい頃に遊び回った故郷の景色から、万葉集やプルーストなど古今東西の文学やノートルダム大聖堂といった歴史的建造物まで、様々なシーンにさりげなく登場する「窓」。言葉をあらゆる方向からくぐらせて新しい世界を見せてくれる堀江さんの文章に、たゆたっているような不思議な気持ちになります。気になったのは、安部公房の『箱男』。まだ未読の作品なので、堀江さんの短い紹介だけで、どんどん想像が妖しく広がっていきます。チェーホフやジッドの翻訳で有名になる前の神西清先生が残した小説も読んでみたくなりました。
2022/02/28
TSUBASA
ただ四角に区切られた採光や換気の意味合いだけでなく、真に開かれた窓とは何か。作品に現れる窓を通じて数々の絵画、小説、映画、詩などを論じていくエッセイ。あまりなじみのない作品が多かったり、分析が詩的で哲学的で文学的なもんだから実体が掴みにくいことが多かった。文体が好きという人も多いみたいだが、固すぎて私には合わなかった。とはいえ『箱男』の箱の窓についてや、チャンドラーの訳文に関する話は面白かったし、病床からの窓が出てくる作品がタイトルを伏せて説明されるも、それが神西清『恢復期』だと気づけたのが嬉しかった。
2020/03/18
プル
窓にまつわる散文集。著者の0.1秒で捕らえた景色も目線も文章で読ませるため、説明されている光景を、読み手である私にも見えるような錯覚に陥る。同じ目を持っているわけではないのに。研ぎ澄まされた感性は、フランス文学教授としてのフランスが舞台だけかと思いきや、和にまで及ぶ。研究者として、よくこれだけの種類の本を読むものだと、関連する本の引き出しにも驚かされる。窓から光や風を感じながら、吐息の中で生まれるような柔らかい文体で堅かったり懐かしかったりする内容を綴っています。下側に余白がある真四角なレイアウトにも注目
2019/12/01
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