ロボット-RUR (中公文庫 チ 1-4)
ロボット-RUR (中公文庫 チ 1-4) / 感想・レビュー
はっせー
ロッスム ユニバーサル ロボット社が人間に似たロボットを開発した近未来な世界。そんな世界でロボットが反旗を翻して人間を支配しようと行動してしまう。この本のタイトル『ロボット』は私がいま使っているロボットの語源になったものである!それをきいて読んでみたがロボットVS人間といったありきたりなものではなくむしろ人間の理想と理想とのぶつかり合いの意味合いが強い。ロボットの開発による重労働という理想。そしてロボットを人間らしくしたいという理想。この理想同士による悲劇。AIの進歩に揺れる時代に読んでほしい作品である!
2021/02/27
Vakira
カレル・チャベック初読み。作者は「ロボット」と言う単語を世に知らしめた人という記憶していたので、どんな物語なのだろう、いつか読みたいと思っていた本。この物語のロボットの外見は人間そっくり、金属質感のする機械的ロボットとは異なる。アンドロイドとかレプリカントTypeだ。ヒューマノイドに近い人造人間のイメージ。1920年の作品。今から100年も前に人造、生命、魂の物語を書かれていることに驚かされた。単純に興味深く面白い。映画「メトロポリス」「ブレードランナー」「ターミネーター」の原点はここにあった。
2021/03/23
アナーキー靴下
チャペックといえばロボット、は語源として有名なだけとの認識だったが、間違いなく代表作といえる素晴らしい作品だった。舌の根乾かぬうちにチャペックの一番は本作に。「白い病」やチャペックショートセレクションでも感じたことだが、チャペックの論理は隙がなさすぎて、人間は詰んでいるのかと思わされる。何かの問題の解を見出だしたと思えば、別の問題が浮上する。相反する命題を抱えた存在である人間は、何も解決できず、問題を抱えて生きるしかない。その中で、愛と生命の美しさ、喜びに触れることが、人間にできる精一杯なのかもしれない。
2020/12/29
ふみあき
チャペックの作品は結構読んでいるが、この有名な戯曲は初めて手に取った。ブリキ、歯車、ワイヤー製の機械人形が攻めてくる話かと思っていたが、本作の「ロボット」は想像に反して、バイオロジー的な人造人間。「壮大な図面を描くよりも、レンガを一個ずつ積み重ねるほうが理にかなっている」や、「歴史を作るのは大きな夢なんかではなく」「人間のちっぽけな要求が積み重なったもの」だ等、漸進主義を訴える科白が印象に残る。ただ著者は「機械は人間の想像力を圧迫してはいない」とも語っており、単純な反近代、反技術文明の話にはなっていない。
2021/07/31
Shun
ロボットの語源が強制労働を意味するチェコ語のrobotaというのは、SF等に興味があれば知っている方も多いかもしれません。そしてロボットという言葉とまさに人造の労働する機械が初めて登場する作品がこの戯曲であり、誕生から100年の新訳となって読めます。この戯曲の内容を初めて読むことができ、ロボットが何故必要とされ、さらに数が増え人間社会にどんな事態が起こり得るのか記されています。既にSF映画等で見知った内容でもあるが全く古びていない構想に驚くどころか、今後のAIとヒトの未来を描いているのかもしれません。
2021/07/08
感想・レビューをもっと見る