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花火-吉村昭後期短篇集 (中公文庫 よ 13-16)

花火-吉村昭後期短篇集 (中公文庫 よ 13-16)

花火-吉村昭後期短篇集 (中公文庫 よ 13-16)

作家
吉村昭
池上冬樹
出版社
中央公論新社
発売日
2021-05-21
ISBN
9784122070721
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花火-吉村昭後期短篇集 (中公文庫 よ 13-16) / 感想・レビュー

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佐島楓

吉村昭=私小説作家というイメージがなかったのだが、生涯にわたって同一のモチーフを繰り返し描写し続けた作家だったと本書を読んで知った。掲載されている短編はいずれも重いものだが、死を描くことで生を際立たたせているという点で共通したところがある。もっと早くから読んでいたかった作家のひとりだ。

2021/06/20

fwhd8325

その景色がはっきりと浮かんで見えるような短篇集です。命の儚さと対比にある強さ。どちらに自らを置いて読み解くかは、読者である私の年齢にもよるのでしょう。この短篇集の中では「死顔」は、発表時に読んでいましたが、十数年経て読んだ感想はまた別の考えが浮かんできます。だから小説は面白いのだろうし、吉村昭に作品はすごいのだと思います。

2021/08/14

キムチ

池上氏編でこの5月に出たもの。全集で既読したモノとは言え、こうして別な視点で読むと改めて突出した彼の筆力に心が震える。10年後、知力が残っていたら必ず再読したい1冊。池上氏の解説が好ましい~ヘミングウェイやシーラッハと共通するハードボイルド文体との評。自らを振り返ると確かに「切り詰めた言葉と感情表現を抑えた凝縮されたイメージ」を好む事を再認識。16の短編には掌編ともいえる10枚の原稿に閉じ込めた小説世界もある。標題とその世界との関連が浮かぶもの、❔のモノ・・秀逸かつ端正な吉村氏の文章だからの手法。敢えて

2021/10/01

タツ フカガワ

収録された16編のうち12編は既読でしたが、それでも読み始めたら手が止まらなかった。ほとんどの作品に一貫するのが吉村さんの死生観。たとえば遺作となった「死顔」のなかで、治癒の可能性のない延命措置に疑問を投げかけ、「いたずらに命ながらえて周囲の者ひいては社会に負担をかけぬようにと配慮した」幕末の医師佐藤泰然の死に方を賢明な自然死と書く。「もう、死ぬ」と言って、体に埋め込まれたカテーテルを自ら引き抜いて逝った吉村さんの最期が思い出され、グサリと胸に刺さった一編でした。

2023/03/26

たぬ

☆4.5 1975年の「船長泣く」から遺作となった2006年の「死顔」まで16篇。どれも甲乙つけがたいけどあえて選ぶなら「船長泣く」と「見えない橋」かな。吉村作品は読むといつも厳かな気分になる。それが死をメインテーマにしたものではなくても。作者のお見舞い考・故人との最後の別れ考はとても納得できる。

2022/02/03

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