昭和23年冬の暗号 (中公文庫, い108-7)
昭和23年冬の暗号 (中公文庫, い108-7) / 感想・レビュー
藤瀬こうたろー
「昭和16年夏の敗戦」の後継の本で、本作は、東京裁判にからみ、被告人たちの起訴日や死刑を執行した日について、その隠された意図を描いたもの。正直、日本史好きの私としては同じ話を聞いた事があり、そんなに目新しさがなかった。開戦前に有識者たちが日本の敗戦を正確にシミュレーションしていた事実を描いた前作の衝撃と比べるとインパクトが弱い。むしろ、昭和天皇の訴追や退位を巡っての攻防が面白かった。しかし、東京裁判どころか天皇誕生日もわからない日本人が大半を占めるご時世になろうとはマッカーサーやケーディスもびっくりかな。
2024/03/25
フンフン
2009年の発表時には『ジミーの誕生日』というタイトルだったのを2011年に文春文庫化するにあたり『東条英機処刑の日』と改題し、本年中公文庫にするにあたって1983年に発表した『昭和16年夏の敗戦』との関連を明確にするため『昭和23年冬の暗号』と改題したとのこと。でも知らない読者は猪瀬の新作かと思って買っちゃうかも。それをねらっているんだろうけど、旧作をタイトルだけ変えて何度も出すのはいかがなものか。ミステリー仕立てにしてあるけど、平成の天皇誕生日が東条処刑日だって誰でも知ってるがねえ。
2021/10/30
きっしょう
「ジミーの誕生日」の改題と知らず再読。ミステリーめいた展開で、マッカーサーや天皇家、その周辺の様々な人たちの入り乱れる思惑は著者の推測を含むが面白い。天皇家の存続や戦犯や戦犯から排除された人たちの背景なども分かり易く 当時の社会の一断面を垣間見せてくれる。 ただ、名著「昭和16年夏の敗戦」の流れに徐々に改題して寄せるのはいかがなものか。あとがきも完結編として繋げるための言い訳にしか読めませんでした。
2021/07/29
spike
期待が大きかっただけに、「昭和16年夏の敗戦」と比べると緊迫感がなあ、、、ケーディススキャンダルが題材のひとつだから仕方ないですが。ラストは、これも、うーん、蛇足かなあ。文庫再刊によせてのあとがきも、言いたかったことはわかるのだけど、、、
2021/07/24
OMO
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×
2024/10/21
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