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青空と逃げる (中公文庫 つ 33-1)

青空と逃げる (中公文庫 つ 33-1)

青空と逃げる (中公文庫 つ 33-1)

作家
辻村深月
出版社
中央公論新社
発売日
2021-07-21
ISBN
9784122070899
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青空と逃げる (中公文庫 つ 33-1) / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

人生の一つの意味を確認した読後。突然のスキャンダルで、理不尽に日常を犯された家族。日本縦断逃避行の中、38歳の母と小学5年生の息子の心境で物語を綴る。決して利己的ではない母と息子の気持ち。しかし、微かなずれで同調できない。そんなすれ違いでも、感じる無根拠な求心。縁もない人たちの絶妙な利他が、そんな感情を確信させる。写真館の老主人に言わせた「必要としてくれる人で、やめるにやめられなくなった」。一人でも他者から伝えられる生きて欲しいとの想い、そしてただそれに応えたい情緒。人生は自分だけのものではないと表すか。

2021/08/17

イアン

★★★★★★☆☆☆☆母と息子の切ない逃避行を描いた辻村深月の長編。劇団員の夫のスキャンダルによりマスコミや芸能事務所から追われることとなった早苗。10歳の息子・力と共に選んだのは〝逃げる〟ことだった…。四万十や家島など風光明媚な情景と人情に心が洗われるが、ある場所から血の付いた凶器が見つかったことで一気にサスペンス色を増す。読後感を重視するあまり肝心の逃げる理由がぼやけてしまった印象があるので、警察や実家にも頼れないという強い理由が欲しかった。いつか成長した力が遼や優芽との約束を果たす物語も読んでみたい。

2022/12/05

あすなろ

本作品は、母と息子の逃避譚であり、ロードノベルである。それと同時に母と息子其々の成長譚でもある。正直、全体のストーリー自体はそれ程でもないかなとは思う。しかし、逃避譚と其々の成長譚に辻村氏の心理描写があり、逃避地各地の絶妙な描写を掛け合わせると次々頁を読者として巡らされ、登場人物に心理描写に没頭させられたのである。その各地全てに行った事があるが、中でも大分別府の描写は魅力的であり、再度訪問したいと思った。そして最後に。人は守るべきものがある時に強くなるのである。背負う物がある者は強いのである。

2022/01/30

やっちゃん

不本意だとしても旅小説。自分も旅してる気分で読めて大好物である。別府に着いたときはガッツポーズしてしまった。子供にとって色んな土地を巡り、地元の人と触れ合うことは勉強以上に良い経験になりますね。血流をドクドク感じられる砂むし温泉はいいぞ!

2023/01/29

SJW

舞台俳優である夫が交通事故に合い、同乗していた大物女優との不倫が発覚し夫は姿を消す。残された早苗と息子の力は、高知の四万十、兵庫の家島、大分の別府、宮城の仙台とマスコミや事務所の人たちからの逃亡生活をすることに。生活力のない早苗が、生活のために苦労をしながら徐々に逞しくなっていく様子や、力の成長する姿がいじらしく愛おしかった。

2021/11/22

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