谷崎マンガ-変態アンソロジー (中公文庫 た 30-57)
谷崎マンガ-変態アンソロジー (中公文庫 た 30-57) / 感想・レビュー
麦ちゃんの下僕
『谷崎万華鏡 谷崎潤一郎マンガアンソロジー』が改題し文庫化!谷崎文学のエッセンスを独自の解釈で表現した11のマンガ作品に加え、新たに近藤聡乃さん✕山口晃さんの対談・榎本俊二さんのマンガ・古屋兎丸さん&中村明日美子さんへのインタビューが収録されています。再読となる本編では、やはり近藤聡乃さんの「夢の浮橋」が好きですね…知らず知らず不思議な世界へと誘われていく感覚がたまりません。密度の濃い山口晃さんの「台所太平記」と、榎本俊二さんの「青塚氏の話」の“あのページ”は、単行本で読んだ方が良いかもしれませんね(笑)
2021/09/03
Kei
あの谷崎潤一郎の数々の名作を漫画で。漫画家さん各自のイメージで切り取って。残念ながら、どれも文学を超えない。あの流暢で、淫靡な世界を視覚化するのは、なんと難しいことか。文字を読んでの想像の方が、はるかに跳べる。案外、表面的には穏やかな、台所太平記が、唯一面白かった。地方から出てきての女中奉公。今では死滅していますが、家事労働に行儀見習も兼ねて、親のように、嫁入りの面倒までみる。谷崎、女中さんに、手出してませんが、品評と密やかな目線。明るい娯楽作品なのに、やっぱりちょっと。(笑)しようがないですね。
2021/09/27
アキ
谷崎は私生活でも変態だった。そして天才でもあった。明治44年初出の『少年』。当時永井荷風は「私はもう若い新進作家の強い力の籠った製作を仕上げることはできない」と評し、自身も「前期の作品の中で一番キズのない完成されたものであることを作者は信じる」と言及している。そんな作品がマンガで読める。谷崎にまつわる女たちを描いた「谷崎ガールズ」などを含め11作品。高野文子・近藤聡乃・今日マチ子・しりあがり寿・山口晃らの漫画家が自分で選んだ作品をマンガ化している。妄想の世界に迷いこんで、もう戻りたくなくなってしまいます。
2021/09/08
keroppi
書店でこの文庫を見つけて、即買いしてしまった。谷崎潤一郎って実はあまり読んだことがない。どちらかというと映画化されたものを沢山見ている。増村保造監督、若尾文子主演の作品なんて大好きだ。で、このマンガ化作品。それぞれの作家の特徴が出ている。マンガは、映画とは違い戯画化された人間がストレートに出てくるようだ。古屋兎丸「少年」、榎本俊二「青塚氏の話」がわりと好き。しりあがり寿の「瘋癲老人日記」をヘミングウェイ「老人と海」とくっつけちゃった話もマンガらしいぶっ飛び方で好きだけど。山口晃「台所太平記」も味がある。
2021/08/26
aquamarine
書かれた作品が変態というよりも、谷崎氏自身が変態だよね。と思いながら手に取る。小説として読んでいるのは半分くらい。有名な漫画家さんたちが、小説の一部を思うように切り取ったり舞台を現代に移したり、それぞれの色を出して作品に仕上げていて、自分のイメージとかなり違っているものもあるがそれはそれで面白い。漫画から入って小説を後から読んで、別物!と驚くのもありだろう。逆に自分の小説のイメージが壊されるのを好まない人にはお勧めしない。特に心に残ったのは古屋兎丸「少年」近藤聡乃「夢の浮橋」中村明日美子「続々羅銅先生」。
2021/09/16
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