日本建築集中講義 (中公文庫 ふ 50-1)
日本建築集中講義 (中公文庫 ふ 50-1) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
肩のこらない建築学。講義としいうより対話、いや漫才のよう。木造、つまり植物素材が基本になっている日本の建築が、いかに西欧と異質なものかがよくわかる。茶道の素養がゼロなので、ほんとうはわかっていないけど、茶室というのは建築的にすごい。狭さを感じさせない工夫が盛り込まれているのに、あくまでさりげなく、である。ここに住宅建築の紹介は少ないが、それでも意識的に入れてあると思う。西洋の建築学では住宅が対象ではなかったそうだ。安土城が西洋の教会からヒントを得ているかも、とはすごい説だ。確かに天「主」と書かれている。
2021/10/25
tamami
著者の一人、藤森照信先生は郷土の大先輩、一方の山口晃さんは東大出版会のPR誌『UP』の「すずしろ日記」でお馴染み。この二人の本ならばと言うわけで手に取る。日本の名建築について、藤森先生の語りと山口画伯のデッサンから、法隆寺以下現代の住宅建築まで、時代性や特徴が伝わってきて、これまで知ることの少なかった存在に、少しく関心を寄せることができた。見たことのある建築物も、見方によってこうも違うのかと思うことが少なくなかった。文庫版を読みながら、元版なら写真や絵ももっとくっきり写り込んでいるかもとの思いを抱く。
2021/09/15
瀧ながれ
文庫化。小さくなって山口氏のマンガが読みにくくなってないかと心配でしたが、読みやすく、充分楽しかったです。歴史的建造物を、知識と感性でズバリと解説する本。建築のプロである藤森氏と、芸術家である山口氏の、見ている部分の違いが、さらに興味をそそり、実物を見たい!という気持ちにさせられました。
2021/08/24
A.T
興味深いネタを(もちろん、編集者さんの取捨選択があっての素人向けネタでしょうが)たくさん知ることができました。藤森先生「法隆寺の柱はエンタシスではない」え!私、大学にそう教わった気が…。山口画伯「法隆寺金堂と五重の塔の回廊の床に近づくと摩滅した石粒が… (1300年の)歳月だ」に対して藤森先生「この回廊の床は問題だなぁ。これ、コンクリートで…本来はタタキだった」などと建築知識ゼロの人間からすると、法隆寺=全部1300年 という印象だがこれは間違っているという話など傑作な話題揃い。
2024/01/08
おおた
こんなにおもしろい本、本当に久しぶり。笑えて為になるって言うは易し、その言葉の重さに耐えられる本は数えるほどしかない。建築集中講義と題しながら、取材中のエピソードを4コマにしたり、立派な建造物でも平気で寝転がったりと、傍若無人なところがまず愉快。それでいてお二人とも鬼才と呼べるほどの博学であるから、建築や風景を見る視点が斬新。コケ愛好家としてはコケと屋根の美しさを語られている点にただただ感動の首肯を繰り返すばかり。これは単行本版の大きい判型も揃えたくなる。
2021/09/18
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