ソラシド (中公文庫, よ39-8)
ソラシド (中公文庫, よ39-8) / 感想・レビュー
はっせー
1986年。そこにはレコードとコーヒーの空気が流れていた。その時代にダブルベースの女性デュオのバンドを探す物語。実際に探すのは26年後の世界である。そのため1986年と2012年を行き来するように物語が描かれている。いまエモいという言葉に集約されるように昭和レトロがブームになっている。そんな世の中でこの本はまさにレトロを感じる本になっている。だがレトロやノスタルジックという言葉だけでは到底表しきれない空気や匂いがこの本には漂っている。目を瞑ればあの時代にいけるかもしれないそう錯覚させてくれる本である!
2022/06/11
KAZOO
吉田さんの本ですが、いつもながら分野があまりわからない感じでした。あまり事件らしきも起こらずに話が淡々と進んでいきます。このゆったりした感じが私は嫌いではないのです。題名にある幻のデュオを探していくことになりますが、話の先行きが見当もつきません。筆者はあとがきで、この小説は三つのレイヤーを持っているといっておられます。「主人公が書いた一九八六年の日記と回想」「主人公の現在の日々」「ソラシドという幻のデュオをめぐるテキスト」だそうです。
2024/07/09
優希
レコードというガジェットが古き良き昭和を感じさせますが、物語自体はそんなに面白いとは思えませんでした。
2022/04/16
エドワード
1986年、東京。当時、「レコードを聴く」ことは音楽を聴くこととほとんど同義だった。音楽、針、回る円盤。物語の視点は2012年、ギターとベースの女性デュオ「ソラシド」の存在を知ったヤマシタは、妹のオーとともに、1枚のレコードも残さなかった彼女たちの音楽を探す旅に出る。ライブを聴いたオーの母の話。ライブ会場のバーの店長の話。音楽雑誌の片隅の記事。それらを手がかりにさまよう兄妹の旅。ヤマシタは作者の分身。私も同い年だ。ああ、よみがえる1986年。音楽、街、二度と出会えない空気のリアリティが私の心を震わせる。
2022/11/23
mint-s
けむり先生に「君は書くんだね」と言われたあの頃1986年の日記と回想、それから26年後の今、幻の女性デュオ「ソラシド」をめぐる物語。まずいコーヒーの古びた喫茶店、大量のレコード、カーテンのない部屋...頭の中にふわりと映像が浮かび、読み終える頃には本当に「ソラシド」がいたようなその音楽を聴いたような心地がした。
2023/03/04
感想・レビューをもっと見る