酔人・田辺茂一伝 (中公文庫 た 56-3)
酔人・田辺茂一伝 (中公文庫 た 56-3) / 感想・レビュー
緋莢
図書館本。<田辺茂一は私にとって永遠の人生の師であり、田辺茂一の思考、言動がその頃私達にとっての人生の悩みをズバっといい切ってくれてたのが、この頃やっと判るようになった>と「プロローグ」で書かれており、第一章の書き出しが<田辺茂一紀伊国屋書店社長が私の人生の師匠であった>です。でも、<尊敬していた。いや待てよ、本当に尊敬していたかなあ…>、<夜ごとの銀座の酒とくりゃあ、 先生でもなきゃあ、センセイでもなくなる。何と「オイ田辺」ともなる。勿論洒落だが…。>(続く
2024/05/05
紙狸
2021年10月文庫本刊行。1994年に出た単行本を増補した。立川談志による紀伊國屋書店社長・田辺茂一との交流録。とはいえ、談志は田辺を媒介にやはり自分を語っているといえないか。談志が好きだから読んで、独特の語り口に満足した。好きではない人にとってはどうかな・・・昭和の銀座の飲酒文化を知る上ではよいかもしれない。有名芸術家の首をしめたなんて「すごい」と妙に感心する。一時参議院議員だったことから、佐藤栄作首相の夫人ら政界関係者の思い出も語る。
2021/10/20
qoop
若き談志のお旦だった当時の紀伊国屋書店社長を偲んだ回想録。内容として伝記的要素は少ないため描写される田辺の人物像は一面的だが、尊敬する理想像でも、理解の遠く及ばぬ畏怖すべき対象でもない、いわば談志にとっての道標のような存在だったろうことが伺える。そう考えると、昼の顔を遠ざけて書かないことで、むしろ複雑な人物像を描出しようとしたのかとも思える。
2021/11/11
スプリント
どちらも舌鋒するどく濃い人物 銀座でお見かけしたかった。
2022/01/18
やまねっと
この1ヶ月、談志が書いた本や談志について書かれた本を読んでいる。 談志を知っていれば、田辺茂一という男は自然と記憶に残っていく。 田辺の仕事や功績を記した本ではなく、あくまで談志視点の呑み明かしてそこで知ったことを談志独特の文体で語っていく。まさに落語を聴いているようなそんな気にさせられる本だ。 談志がドッキリに嵌められる話が面白かった。本人は不愉快だったらしいが。そらそうだろうと思った。誰だってドッキリは嫌なものだ。 駄洒落も身を救うとも思った。最後まで田辺茂一を貫いたのは凄いと思った。
2022/02/13
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