愛なき世界(上) (中公文庫 み 51-2)
愛なき世界(上) (中公文庫 み 51-2) / 感想・レビュー
さてさて
『ひとは植物にはなれない。でも、ひとであるからこそ、植物を知ることも、研究に情熱を燃やすことも、スイートポテトを味わうこともできる』と植物の研究に情熱を燃やす本村紗英。そして、それを見守る藤丸陽太の不思議な関係が、”お仕事小説”の中に絶妙な温度感で描かれるこの作品。『狂おしいほどの情熱に取り憑かれている』という本村の情熱が”お仕事小説”の面白さをこれでもかと牽引するこの作品。『植物学』という全く未知の世界の面白さを知る機会を与えてくれた、三浦しをんさんの魅力にどっぷりと浸ることのできる、そんな作品でした。
2022/01/03
ひさか
読売新聞朝刊2016年10月12日〜2017年9月29日連載に加筆修正し2018年9月中央公論新社から刊行。2021年11月2分冊にして中公文庫化。舟を編むの路線かと思いましたが、そこまでのことはなく、カリカチュアした研究者たちが登場するやや軽めのお話。ヒロインの本村さんの植物好きが楽しい。下巻へ。
2022/02/23
あきぽん
洋食屋で働く青年が恋に落ちた相手は、植物に恋するT大院生だった…。これ双方片思いでも失恋の心配がないですね。若いうちに好きでのめりこめるものが見つかった人はとても幸せですよ。そして私も前から、恋愛成就なくして子孫を増やしていける植物が羨ましいと思っていました。
2022/01/03
なっぱaaua
三浦しをんさん久しぶり。「仏果を得ず」や「舟を編む」の様なお仕事小説。というか東大の大学院植物学研究室と近所の食堂のお話。お仕事絡みの三浦さんのお話は読んでて安心感がある。植物学は何となく興味があって植物園とかはよく行くのだけど、地道な基礎研究がこういうものだとは知らなかった。シロイヌナズナの研究は地味だけどきっと何かの役にたつのだろうとは思う。女性研究者の研究を続ける難しさも伝わってくるのだが。本村さんと藤丸君とならそれを乗り越えてくれそうな感じもするよね。下巻も楽しみ。
2022/01/24
tenori
『愛なき世界』すごいタイトルだ。裏腹に街の洋食屋さんの厨房ドタバタ劇から始まり、大学院の研究室へと風景は変化する。この落差。ギャップ萌え状態にさせて、物語の世界に一気に引き込んでしまう。これから何が始まるんだというワクワク感が第一章に詰まっている。洋食屋の見習い藤丸は院生の本村に恋をするが、本村は専攻する植物学の研究にしか興味がない。院生や教授との交流から植物に関心を持ち始める藤丸は、しだいに研究室の日常に溶け込んでいく。感情を持たない植物。やはり、そこは愛なき世界なのか。下巻へ。
2022/08/10
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