蕭々館日録-新装版 (中公文庫 く 11-7)
蕭々館日録-新装版 (中公文庫 く 11-7) / 感想・レビュー
Lumi
4月頃に読了していたけれどあまりの良さに感想を書けなかった。今回は数ヶ月後の再読。「蕭々館」での高等遊民達の日常。小島政二郎は児島蕭々、芥川龍之介は九鬼さん、菊池寛は蒲池さんと実在した文豪がモデルの彼らを、読者は蕭々の娘である麗子を通して見守る。麗子は5歳だけれど物凄く早熟で女である自覚をもっている。九鬼さんを慕う麗子視点で九鬼さんが描かれているから読んでいる私も九鬼さんに恋してしまう。
2022/08/14
更夜
久世光彦さんの小説は何重にも意味が含まれているから小面憎くなる。この物語も久世版『吾輩は猫である』だけれども主に描かれるのは大正の作家、芥川龍之介。他にも菊池寛やたくさんの実在の文士たちのエピソードをからめながら、大正という時代、芥川という一人の天才、『吾輩は猫である』のパロディ、蘊蓄が楽しい。久世さんが亡くなり読む人が減っていくのがとても寂しいし、大正という時代が忘れ去られていくのもまた寂しい。
2023/08/10
小谷野敦
久世はドゥマゴ文学賞、芸術選奨などをとったが、『蕭々館日録』は泉鏡花賞をとっている。この時の同時受賞者が笙野頼子である。この作は芥川龍之介の晩年を描いたものらしく、芥川を「九鬼」、菊池寛を「蒲池」とし、小島政次郎を「児島蕭々」として、その児島の五歳の娘である麗子の視点から描かれている。さて、アマゾンレビューに面白い批判があったので、引用する。 「この「あたし」なる本書の語り手の「女」はいったい何歳か?――なんとわずか5歳である。
2024/01/13
KN
チコちゃんすごいな〜(笑) 奥さんの解説だけど、その表現は「狂う」ではなくてもっとかなりセクシュアルな部分で、それに拒否反応したんだろうなぁと 改めて今は絶滅しかかっていそうな文学なるものに打たれる 夏目漱石の「猫」もちゃんと読もう
2024/05/05
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