冴子の東京物語 (中公文庫 ひ 39-1)
冴子の東京物語 (中公文庫 ひ 39-1) / 感想・レビュー
sea
氷室さんはきっと誰よりもまっすぐで純粋な人なんだと思うのだけれど、そのまっすぐの軌道が明らかに大多数の人と違う方向に突き抜けているからおもしろい。そのユニークさを当人がてんで気づいてないことを含め。 青山美智子さんの解説はほんとうに素晴らしく、氷室さんへの愛に満ちていて、いつかわたしもこれほど愛に溢るる言葉を届けられる相手を見つけられたら、その人にこれほど全身全霊で愛を伝えられたら、この世に思い起こすことなどないなぁと、大それたことを思った。
2022/08/03
千景
長電話のしすぎで「この電話代払うなら東京のそこそこいい家に住めるな…」って東京に引っ越すって…長電話やばいな…と思ったけど、よく考えたら私も、LINE通話は無料だからって平気で4時間ぐらい通話してる……🤔おや? 少しずつ変わって来てるような気はするが、 しかし根本的なところはなかなか変われないのだろうか。 女が女として強く生きていくこともまた美しいのでしょうが、女も男も関係なくただ揺蕩うように生きていきたいなと感じる……。二分されるの、疲れたよー。
2022/06/27
とんとん
祖父の葬儀の準備をしているときに見た、不自然な鬘を付けた男性。何年も経って、その男性の姿が脈絡なく浮かんで来た時のことが書かれた「記憶」がすごい。〈田舎には不思議な逞ましさ、生命力とでもいうべきものがあって、仮通夜だろうと本葬儀の席だろうと、目引き袖引きのうわさ話や人物批評は常に、生き生きと行われる〉……こんな文章なかなか書けないです。
2022/07/10
ズグリーブ
いい話よりトホホな話を選ぶセンスがすてきだ。個々の描写も生き生きとして秀逸。多武峰で遭難しかかったときチェルシーの包み紙に励まされる心境とか、自分の体験のようにありありと思い浮かぶ。p77-78「そのうちにインカム式の携帯用超小型電話ってできると、おもしろいわね」「今よりもっと、排他的な世の中になるわね。日常生活してる時も、現実無視して、興味のある人としかしゃべってないんだもん」――。1990年の本でこれ。氷室さんはやっぱりめちゃくちゃ人間が見えている。「光る君へ」の感想とか聞きたかったなあと、つい思う。
2024/05/08
songbird
☆☆☆ 電子版。
2023/09/09
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