疎開日記-谷崎潤一郎終戦日記 (中公文庫 た 30-60)
疎開日記-谷崎潤一郎終戦日記 (中公文庫 た 30-60) / 感想・レビュー
amanon
以前読んだ『月と狂言師』の増補版。興味深い内容ではあるが、『月と〜』の感想でも述べた通り、「疎開日記」では、著者の親族への説明が今一つ不親切で、文脈から人間関係を推察しながら読まねばならないというのがちと辛い。ただ、ああいう切羽詰まった状況の中で、名作『細雪』が執筆されていたんだな…と思うと深い感慨が湧く。また、長く京都に住む者にとって、著者によって描かれる、戦後すぐの京都の姿が何とも言えず味わい深いものに思える。八十年程前の京都はこんなんだったんだな…と。また、永井荷風との往復書簡の存在に驚かされた。
2023/06/10
バーニング
本編と言って良い疎開日記には生々しい記録が多く残るが人との交流も活発で食事のエピソードも多い。戦禍の中で『細雪』の執筆が少しずつ進んでいたこともよくわかる。戦後の記述にも面白さや発見があり、合わせて読めるのがよかった。
2022/08/29
kanikakuni
谷崎、疎開先でもけっこういいものを食べるし、酒も飲む。後世から見れば昭和20年8月で戦争が終わることは自明だが、当事者にとってはいつ終わるとも知れない難儀だったことを思えば、谷崎の快適(快楽ではなく)を求める欲に、圧倒される。 もともと中公文庫に入っていた『月と狂言師』の増補改訂版らしいが、やはり古典ほど新しい版がいいと思う。
2022/11/27
食パンの耳
2023年 29
2023/06/05
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