コイコワレ (中公文庫 い 124-2)
コイコワレ (中公文庫 い 124-2) / 感想・レビュー
まあか
嫌いな者とどう向き合うか?どう付き合っていけばよいのか?その問いを何度も何度も、心に訴えかけてくる。嫌いだからと相手を攻撃するのは、弱い者のすること。どんなに嫌いでも、自分の中の憎しみの心と戦い、自分で気持ちを諌める。とても大切なことを教えてくれた本でした。初読み作家さんですが、いい(^^)他の本も読んでみたい。螺旋プロジェクト5冊読みました!あと3冊!
2023/03/01
エドワード
この物語のテーマは「敵同士であっても解りあえる」ことだ。太平洋戦争末期、浜野清子は、母から<お守り>を渡され、東京から宮城県へ集団疎開する。眼の蒼い清子は、妖怪の目と嫌われる。地元の那須野リツは、拾われっ娘の山犬と虐げられる。孤独な二人がお互いを敵視する―相容れない種族だからだ。リツは秘かに慕う健次郎の出征に<お守り>を渡そうと、清子の<お守り>を盗む。しかし健次郎は謎の死を遂げ<お守り>は砕け散る。リツは不思議な力に動かされ、東京へ帰る清子のために<お守り>を作る。果たして<お守り>は清子を守れるのか?
2023/04/02
みこ
螺旋プロジェクト戦争編でもあり私にとってはラストの一冊。蒼い目が原因でいじめられている清子は母のお守りを手に仙台へ疎開しそこで山族のリツと出会う。表紙や刊内のイラストからもう少し二人の設定年齢は高めかと勘違いしていた。他作とは異なり二人とも少女ゆえに言動が純粋で時に愚かなものになってしまうものの、二人の成長を山に住む源助やリツの祖母であるタマのような目線で見守りたくなる。吉田篤弘作品のキーアイテムであるラムネも登場。
2023/01/29
piro
戦時中、学童疎開で東北のとある村にやって来た浜野清子。清子の疎開先・高源寺で養女として暮らす那須野リツ。出逢った時から何故か互いに嫌悪感を持つ二人を巡る物語は、少女達の成長譚であると共に、争いを避けることの大切さを語りかける作品でした。海族と山族の対立を軸に描く螺旋プロジェクトの一作品として共通のテーマを描きつつ、人の様々な「想い」が織り込まれた感。源助やタマの優しさと厳しさ、そして清子の母の深い愛情に心打たれます。そして他作品との微かな繋がりを探すのも一興です。
2024/03/10
のびすけ
8作家による螺旋プロジェクトの一冊。海族と山族との対立を取り入れるなど幾つかの共通ルールのもとで書かれた、というのを本書を入手した後に知った。戦時下、集団疎開で出会った清子とリツ。お互いに対して抱く説明のできない憎悪と敵意。海と山の対立の歴史を知る清子の母と源助の言葉が心に刺さる。二人の少女の苦しみ、葛藤、心の変化に、何とか通じ合えないものかと祈るような思いになる。二人の懸命な姿は、とても大事なものを教えてくれる。
2023/07/20
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