絵葉書のように (中公文庫 た 15-13)
絵葉書のように (中公文庫 た 15-13) / 感想・レビュー
KAZOO
武田百合子さんの未読であったエッセイ集です。武田さんが「らんぼう」という酒場で働いていた時から生前の最近時までの様々な出来事が書かれています。やはりご主人の関係で文豪といわれる人々とのやり取りなどが興味深く語られます。とくに人との別離が多いという気がしました。読んでいて本当に気持ちがゆたかになる気がします。このようなエッセイが少なくなりました。また「富士日記」を再読したくなりました。
2023/11/18
佐島楓
武田百合子さんの生前をわたしは存じ上げないけれど、このかたにしかお書きに慣れない、視えないものがあったのだろうことは文章を読めばわかる。やはり夫である泰淳との別れがつらく苦しいものであったことも、文章のあちらこちらににじみ出ている。『富士日記』には早めに挑戦しようと思っているが、時間がどんどん経ってしまうな。
2023/04/14
かわうそ
何がそんなに素晴らしいのか、私にはなかなかうまく説明ができないのですが、目に見える景色を素直に感性のままに切り取って提示してみたら、軽やかにして凄みのある随筆になっていた…みたいな。書かれている内容というより文章表現を満喫した感じです。
2023/04/11
えいこ
夫である武田泰淳が亡くなってからのこと、在りし日の思い出などを綴ったエッセイ。「犬が星見た」の頃の自由であけすけな文体はそのままだが、夫や友人たちのことを語るとそこに寂しさや悲しさ、諦念が滲む。古い木造の家が壊されて鉄筋の大きなビルが建つ描写が何度か出てくるが、なくなるものへの郷愁のようなものが、ずっと漂っている。
2023/07/01
ニケ
武田百合子さん。唯一無二のエッセイスト。武田泰淳さんがその才能をたぶん見抜いて生まれた稀有のエッセイスト。この時代の文豪たちも実名で生き生きと描かれる。視点が独特なのだ。なんとも言えないおかしみがある。ドイツ滞在記だって、典型的なよくあるドイツの風景などこれっぽっちも出てこない。サーカスや動物園や浮浪者。食べ物のエッセイの生々しく人間くさいこと。好きだ。
2024/02/14
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