52ヘルツのクジラたち (中公文庫 ま 55-1)
52ヘルツのクジラたち (中公文庫 ま 55-1) / 感想・レビュー
青乃108号
俺がまだ読メの駆け出しだった、2021年の本屋大賞受賞作。当時はメディアでもかなり話題で、その様を眺めていた俺は「多分読む事はない」と決めてかかっていた。それから三年。まあ読んでみても良いか、ぐらいの気まぐれで予約してたら思いの他順番が回って来るのが早く人気作故に延長など出来ず、心の準備が。などと言ってる場合ではなく兎に角読み始めた。冒頭から心を鷲掴みされた。何だこれは。作品世界から抜ける事が出来ない程、没頭して読んだ。猛烈に感動した。泣いた。俺は妻の「魂の番」になれていない。俺の声も聴いてくれ、キナコ。
2024/10/01
のり
心の内・声無き叫びを汲む事は非常に難しい。生きながら死に体になった者を救い上げた人がいたが、悲しい別れとなった。再び底に沈んだ中、一人の少年と出会い、心の持ち方が前向きになる。助けられる側から、助ける側へと…あまりにも理不尽な扱い方をされてきた二人にも、手を差し伸べ諌めてくれる友や知人もいる。二年後を見据えて、取り巻く環境が好転することを祈る。
2023/08/21
エドワード
もし私の声の周波数が他の人と全く違えば、私の声は誰にも届かない。クジラは超音波で交信する。52ヘルツのクジラは他のクジラと交信できない。何と孤独な生命だろう。大分県の海辺の街。昔、祖母の住んでいた家へ、東京から移住してきた訳ありの女性、貴湖。ある日、身体中に痣のある少年を助ける。実母から<ムシ>と呼ばれ、声を出せない少年。家族から虐げられた貴湖と少年は「魂の番(つがい)」のごとく寄り添う。理不尽な人々。優しい人々。この社会はままならないことばかりだ。涙があふれてしょうがない。二人の明るい未来を祈る。
2023/06/19
Atsushi
悲しいかな、日常茶飯事になった子どものニュースがふたつ。いじめを苦にした自殺と虐待だ。理不尽な虐待を受けて育った女性と少年のお話。その悲しい生い立ちには心が痛む。52ヘルツの声は届かないけれど「魂の番」は必ず見つかる。寄り添い支え合うことを誓ったふたりの未来に幸あれ。
2023/07/22
ちゃあぼう
過去に虐待を受け、そこから助け出され以前に祖母が暮らしていた場所へやってきた貴瑚と現在虐待に遭っている愛の暮らしを描いているが二人の虐待を受けている描写が悲惨で、何か救いようのない話を読んでいるようでちょっと憂鬱な気持ちになってしまった。しかし、貴瑚の周りの人たちの手を借り良い方向に進んで物語は終了するので最後はほっとできました。それでも、子供を保護するためには現実には困難なことが多くあることも描かれており、勉強にもなった。助けが必要な人に手を差し伸べられる人にならなくてはいけないなと思える作品でした。
2023/08/11
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