日本の名著 (44) 幸徳秋水 (中公バックス)
日本の名著 (44) 幸徳秋水 (中公バックス) / 感想・レビュー
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幸徳秋水へのレクイエム、追悼として読む。大衆は貧困で言論が可能性を有していた時代。故にこそ社会主義に求心力があったし同時にまた言論の巨魁として処刑されねばならなかった。秋水は啓蒙こそ使命とし天性の詩人であるが故その文章は対句法や反復法に満ちたいわば一個の詩であり、彼の肩書は社会主義者でも無政府主義者でもなく革命家が相応しい。革命は自由・平等・博愛・平和・進歩・幸福・真理・正義・人道に他ならず必然だった。では実際の権力打倒はどうするのかその論考が弱いと敢えて指摘する必要もあるまい。処刑の甘受が物語っている。
2017/09/08
Sin'iti Yamaguti
社会主義が希望であった時代。幸徳秋水や大杉栄は理想に燃え、理想に死した。幸徳は、田中正造が直訴状執筆を託したことからもわかるように、名文家である。論旨明快である。本人は死刑を意にも介していなかったが、冤罪で葬り去った日本国家権力の卑劣さを憎む。
2023/09/12
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