黒岩重吾全集 (13) さらば星座1
黒岩重吾全集 (13) さらば星座1 / 感想・レビュー
竹園和明
「昼と夜の巡礼」「鎖と歯」「飛田ホテル」の3篇。「飛田ホテル」は最近再発されたばかり。実際に釜ヶ崎のドヤ街で生活した経験を持つ著者の作風は、路地裏のさらに裏を舞台としたような、カネと欲に捕らわれた底辺の人々の心理を抉る世界。「飛田ホテル」の有池は、出所したものの待っているはずの妻浪江が行方知れずとなっていたため彼女を捜す。仲間の嘲笑と裏切りが徐々に顕わになって行く中、その先に待っていた結末は。地を這うような毎日を送る有池が迎える結末があまりに切ない。これが定めなのか。やり切れない余韻を残した名作だった。
2018/03/02
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