ファイアズ(炎) THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER〈4〉
ファイアズ(炎) THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER〈4〉 / 感想・レビュー
三柴ゆよし
カーヴァーをまとめて読もうと思いまず手に取った一冊。エッセイ、詩、短篇小説が収められている。任意の作品をぽんぽんと取り出しただけでベスト盤が編めてしまう稀有な作家だが、作品の書き直しについて何度も言及していることから、カーヴァーの、読者としての自意識の強さが推測される。すなわち自身の作品をまずなによりも読むことにとりつかれているのであり、副詞の有無、語彙のコロケーションは言うに及ばず、コンマの配置にまでオブセッションを燃やすしぐさは、作家というよりはある種の職人に近いだろう。特に詩のパートが印象深かった。
2018/09/13
午後
カーヴァーの炎がぎっしり。
2019/07/15
訪問者
エッセイはどれも素晴らしいし、詩の方も、これほど分かりやすい言葉で書かれた詩もないのではないかと思うぐらい読みやすい。小説の方は「隔たり」「足もとに流れる深い川」は、いずれも長いバージョンであるが、こちらの方が優れていると思う。それにしても巻頭にカーヴァーの写真があるが、これまでの小説家に見えないような写真と比べて、この巻の写真は極めてかっこよく映っている。スーツを着ているせいかもしれないが。
2016/10/07
菊田和弘
ファイズ(炎)は、作家に必要なものとして出てきますが、読むと生きる人すべてにとって必要な生命力なのではと思えてきました。もちろん、炎があってこそ、作家は作品を仕上げることができるし、読む者に炎を着火することもできる。エッセーと詩と短篇小説が収められていて、一つの本に3ジャンルというのも新鮮でした。だからこそ、ジャンルも超えた炎が際立ちます。
2016/10/03
flat
カーヴァーのエッセイと詩、短編が収められています。中でも「足もとに流れる深い川」は他に収められたものと違ったロングバージョンになっていて、個人的にはこちらの方が好み。全体的には生活によって制限される事は彼にとって奪われていくに等しい感覚だったのではないでしょうか、そこに対しての受け入れる姿は諦めにも見えてしまい、読んでいて辛くもありました。彼にとって小説を描くという作業は掌から零れ落ちる砂を止めようとする作業であったように見えます。
2015/07/26
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