水と水とが出会うところ/ウルトラマリン The complete works of Raymond Carver(5)
水と水とが出会うところ/ウルトラマリン The complete works of Raymond Carver(5)
- 作家
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 1997-09-01
- ISBN
- 9784124029352
水と水とが出会うところ/ウルトラマリン The complete works of Raymond Carver(5) / 感想・レビュー
riviere(りびえーる)
初カーヴァ―。物語のような日記のような、ちょっとしたメモのような。誰にでも書けそうで書けないんだろう、こんな詩は。そういえば「西暦2020年」という詩もあった。9月なので 「九月」という詩の一部を紹介しよう。/九月、どこかで最後の/鈴懸の一葉が、地面に/還っていった。/ /風が、空の雲を払う。(以下省略)彼の詩を読んでいると懐かしいような感覚が身体に来る。なんかよかった。
2020/09/02
春ドーナツ
「読書(抜粋)」日がな一日窓際に座って、まるで『読書する男』という題の/絵みたいな恰好で本を読んでいるその男と/自分は同類だと主張するような、/まるで絵の中に出てきそうなその読書する姿に、/親近感を覚えるという人がいたら名乗り出てもらおう。/その男自身にも名乗り出てもらおうじゃないか。/こいつはいったい何を読んでいるんだ。***私は詩集から顔を上げた。カウンター席の窓からは正面に子供病院の白い壁が見える。その奥に重なるように区役所の一部が覗く。屋上には巨大な蛇の鎌首みたいな電波塔が直立していて、雲が少し。
2019/06/03
メセニ
もともと詩を読むのが下手糞だ。散文などと違い言葉の密度が高く、その奥深くまで分け入るのに難儀し、センテンス同士をうまく結びつけられなかったりして、どうにももどかしくなることがある。カーヴァーの詩は彼の小説を蒸留したようなものと解題にあるが、平易な言葉でありながらやはりその純度が高い。それでも時に、彼の詩が放つ繊細な振動をキャッチし、それが自分の心と共鳴することがある。振動は増幅し、自分の内側で大きな音として響く。その瞬間どっと言葉は雪崩れ込む。己の病を知り、再び詩作に愛情を注いだその声は、痛切で濃密だ。
2016/12/19
訪問者
カーヴァーの詩集。解題で村上春樹が「カーヴァーの詩は、延長していくとそのまま短編小説になるし、また彼の短編小説は蒸留していくとそのまま詩になる」という評論家の言葉を引用しているが、本書の最初の詩「ウールワース、1954」を読めば、その言葉の正しさがわかる。これはまさに一片の短編小説を読むような詩だ。どれも素晴らしい作品ばかりだが、とりわけ老人の愛と詩を読むことの素晴らしさを歌った「コーンウォールの幸福」は忘れがたい。
2016/10/08
doradorapoteti
ブコウスキーとの出会いの話いいな
2015/01/12
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