武田百合子全作品 (3) 富士日記 (下)
武田百合子全作品 (3) 富士日記 (下) / 感想・レビュー
どんぐり
下巻は昭和44年7月10日~51年9月21日まで、日記は夫泰淳氏ががんで亡くなる2週間前で終わる。富士北麓に四季はめぐり、日々の生活が年を重ねて記されている。生と死はいつも隣り合わせのようにある。山小屋からのぞむ景色に「あそこからここまで全部あたしのものだぞ」と言う百合子さん。四十雀やもぐらを嚙み殺して口にくわえて見せにくる飼い猫タマ、大岡昇平夫妻の山小屋への往き来、近隣の人との交流、車での買い出しと食事や生活の記録。最後の日記には、「朝、私が便所に入っていると、ドタンと音がしたので、寝室へ急いで行ってみ
2017/06/29
紫電改
上・中・下巻と日をおいて読んでいた。下巻が一番好きだし心に残る作品でした。終盤はちょっと暗い印象を受ける内容でしたが、百合子さんのユーモアと独特な文章に惹かれます。夫婦の何気ない日常の会話がいいです。それと「たま」が野性味があって良いなぁ
2023/09/16
冬薔薇
昭和44年7月から51年泰淳氏亡くなるまで。四季折々の富士の描写が圧巻。洋食好きなリスや、律義に毒入りエサを並べて置くネズミや、毎日獲物を見せびらかしに来るタマ、生き物のかわいらしさと自然を見せてくれる。泰淳氏病後に山に戻ってきてから野菜畑をみな花畑に変えていった百合子さんのやさしさ。ひとり下田へ行ったときのこと、「今見てきたことや、あったことをしゃべくった。帰ってくる家があってうれしい。その家の中に話を聞いてくれる男がいてうれしい」。こちらまで幸せ感。近頃夕焼けや星空を見なくなっていたことに気付かされた
2016/07/19
雛
上中下3巻。武田泰淳追悼号の群像が初出なので、夫君は妻の名作を知らないということ。日記を読むのはあまり得意ではないので飛ばし読みではあったが、百合子さんの人柄などよくわかる。
2015/03/10
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